全10曲約43分、フランス出身のポスト・ブラックメタルバンドのデビューアルバムです。Alcestのメンバーが遠からず絡んでいるため、やはり音楽性にも近いものが感じられます。
　ポストロック独特の浮遊感にブラックメタルの荒々しさが加えられ、どす黒い優しさという不思議な世界観を感じさせるこのジャンルですが、今作はそれを見事に体現しているようです。高音でかき鳴らされる抒情的なトレモロギターの真下で陰鬱なリフが奏でられ、無機質なボーカルが風にたゆたうように歌います。時に激しく、時に切ないその音楽性は、まるで自分が世捨て人にでもなったかのような一抹の寂寥感を感じさせてくれます。
　今作は個人的に非常に気に入りました。特に二曲目の「L'echappee」は名曲といっても過言ではないと思います。この手の音楽が好みの方はぜひ試聴してみてください。