ラブストーリー の清純派ソン・イェジンも、2010年には韓国の数えで29歳になります。
女優としてステップアップを目指しているらしく、
四月の雪 で中途半端な露出ながらベッドシーンに挑戦したのに続き、
本作では同情の余地がない冷酷なスリ団のボス、チャンミに扮しています。
仕事のためには刑事と寝るのはおろか、殺人さえ厭わない女です。

美貌の女スリと、訳ありの刑事の禁断の恋がひとつのテーマなのでしょうが、
チャンミが刑事を利用したものの、恋心を抱いているようには見えませんでした。
刑事の母は過去のある底辺の生活者で、その弱みをチャンミにつけこまれます。
題材が組織暴力団だけに仕方がありませんが、暴力シーンがてんこ盛りで見続けるのが辛くなる映画です。

ラストにちょっとだけ映るチャンミの母は、80年代に日本でも人気があった李恵淑(イ・ヘスク)さんです。

同名のフランス映画にあやかろうとしたのかもしれませんが，なんでこういう邦題になったのかは不明です。原題は「無防備都市」，英題は「Open city」です。
ちなみにファム・ファタールとは，妖艶なる魅力を持って男を惹きつけ，歓ばせ，時に破滅へと導く“運命の女”なんだそうです。

どちらかといえば清純派女優というイメージのあるソン・イェジンssiが，国際スリ団の女ボス役ペク・チャンミとしてファム・ファタールともいうべき役に挑んだ犯罪アクション仕立てのラブストーリーです。
お相手の，韓国広域捜査隊の敏腕刑事テヨンには，「白い巨塔」のキム・ミョンミンssiが起用され，禁断の恋を演じます。
そして特筆すべきは，本作で大鐘賞映画祭助演女優賞を受賞したキム・ヘスクssiでしょう。伝説の女スリ，マノク役を演じ，流石の存在感で貫録を見せつけています。

日本輸出を意識してか，ソン・イェジンssiも度々日本語喋ってますし，のっけの映像も大阪？　を想わせる演出です。でもこの映像は，開業前の釜山の地下鉄で撮影したとのことですよ。

全体としては，ソン・イエジンssiのイメージチェンジを図ろうとしたものの，彼女の演技がそれに着いて行けなかったということでしょうか。
はたまた，“親子間の確執”や“スリと刑事の禁断の恋”という二つのテーマを掲げてはみたものの，どちらも中途半端に終わってしまったということでしょうか。
いずれにしても，結果的には愚作という他はありません。
ざ〜んねん！