この本の中で「自分が死んでしまえば、彼を覚えている人間が一人少なくなる。」という部分がありました。この言葉に私は一番ショックを受け、また感動もしました。今まで私は自分の愛する人が消えてしまったら自分も消えてしまう、あるいは自分自身の手で消し去ってしまうと信じていました。そうすることが愛の証であると。しかしそれが間違えであること。どんなに辛くても「覚えている」ということが、どんなに大切であることか改めて考えさせられました。
今回このの本に出会って、この著者の本を全部読みたくなりました。どれだけかの人があまりいい評価をされてないようですので、今後読むこの著者の本が楽しみです。
作品の登場人物の「出産」に対する執着には同じ女性として「????」と思うような部分もありますが、不妊症に悩む女性の気持ちとして考えるとこの執着心も納得できます。
帚木氏の本を最初に読むなら「閉鎖病棟」「臓器農場」をオススメします。特に「閉鎖病棟」は超がつくほどにオススメ!