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秩父宮―昭和天皇弟宮の生涯 (中公文庫)

価格: ¥1,500
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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兄弟が辿ったそれぞれの道 ★★★★★
秩父宮の誕生は、昭和天皇誕生の僅か一年2カ月後のことである。この少しの時間差が二人に全く異なった人生を歩ませることになる。兄は幼少より徹底した帝王学を受け、立憲君主としての道を歩むが、臣下たる弟は外に出され、陸軍幼年学校から陸士に進み青年将校として弘前歩兵連隊勤務にも当たる。この間世間に触れ、農村出の兵士を通じ社会の底辺層の生活実態を知り、青年将校たちの国家改造思想にも関心を抱くことになる。

本著は宮の一生を、激動の昭和と共に丹念に辿った労作で他に類がない。読者は「歴史として」ではなく、読みながら宮と共に昭和史を同時体験する思いがするだろう。とりわけ時々刻々進展する2.26事件と、その時の反乱軍と秩父宮の動静を詳述した箇所は圧巻で手に汗握る思いがする。

宮にはファンが多かった。持前の庶民性、苦しい訓練を率先遂行する責任感と部下思い。国家改革を求める同僚将校にも理解を示す開明的な思考。自分と同じ誕生日の息子への皇后の情愛はことのほか深かった。昭和天皇も宮の存在感の大きさは常に感じていただろうし、それを警戒していたふしがある。宮は日独伊防共協定、三国同盟には批判的で軍部意向に傾斜する天皇に憂慮を伝えんとしたが果たせなかった。
1940年肺結核に倒れた悲劇の宮は、以後時代の傍観者であらねばならなかった。そして長い闘病生活のあと51歳で短い生涯を終える。

読了して胸打たれるのはこの人物が送った人生の密度。病に伏すまでの宮の活動期の38年間は、民を理解し皇族の範たるべく自分に鞭をふるい続ける苛烈な生きざまである。少しの緩みも見られない。それと第2位皇位継承者という立場の微妙さである。なまじ見識があり人望が高いために周囲からはあらぬ期待をかけられ、ために兄には警戒され、真意も届かなかった。

救いは病床にある兄宮の意を体した高松宮が奮闘し、玉砕を主張してやまぬ軍部を抑えて遅まきながらの終戦が実現したことだろう。
秩父宮への入門編 ★★★★★
丹念に書き込まれおり読みやすい。
秩父宮について興味のある方は入門編として
手にとってみられる事をお勧め。
秩父宮の人間性や昭和天皇への思い等が特に
著者も気持ちをこめて伝えたい項ではないだろうか。
秩父宮と2.26事件の関係に照射 ★★★★☆
秩父宮は言うまでもなく昭å'Œå¤©çš‡ã®ã™ãä¸‹ã®å¼Ÿã§ã‚り、現在の天皇がç"Ÿã¾ã‚Œã‚‹ã¾ã§ã¯çš‡ä½ç¶™æ‰¿é †ä½ãŒ1番であった。またè¿'代天皇制が成立ã-て初めての「天皇の弟宮」であり「å...„ã‚'è¼"弼」する役割が期å¾...されてはいたものの、実際にどのような形で昭å'Œå¤©çš‡ã¨é-¢ã‚ã£ã¦ã„くかは手探りであった。

 å½"時の皇æ-ã®æ...£ç¿'で陸軍にå...¥ã£ãŸã‚‚のの、そã"での安è-¤è¼ä¸‰ã¨ã®å‡ºä¼šã„が(安è-¤ãŒç§©çˆ¶å®®ã‚'皇æ-ã¨ã-てだã'ではなく1個の人é-"とã-てé-¢ã‚ã‚‹ã"とができたという事が決定的であったとè'-è€...は言う)2.26事件とのé-¢ä¿‚ã‚'いろいろと言われる大きな原因となった。言うまでもなく安è-¤ã¯2.26事件のé¦-謀è€...の一人である。2.26事件が発ç"Ÿã™ã‚‹ã¨æ™‚期ã‚'同じくã-て秩父宮がé»'幕であると言ううわさは宮中ã‚'始め各所ã‚'駆ã'回った。
 è'-è€...は実証ç!š„!!にã"の説ã‚'否定ã-ているが、真相はまだ究明されたとはいえない。å½"時の第1ç'šã®å²æ-™ãŒæœªå...¬é-‹ã¾ãŸã¯æ¶ˆå¤±ã-ている以上、実証が不可能であるからだ。本書ã‚'読ã‚"でもなお私は秩父宮には「色æ°-」(?)があったと推察するが、それも推察にã-か過ぎない。

 本書は2.26事件と秩父宮のé-¢ä¿‚に大きくページã‚'割いている。本書のå...ƒã®æ›¸åãŒã€Œç§©çˆ¶å®®ã¨æ˜­å'Œå¤©çš‡ï½£ã§ã‚った通り、2.26事件により昭å'Œå¤©çš‡ã¯ï½¢çš‡æ-(天皇家)の家長」の地位ã‚'確立ã-たã"とが、秩父宮のé-¢ä¸ŽãŒãªã‹ã£ãŸã¨ã™ã‚‹ç«‹å 'の本書の記述によってもうなずã'る。ã"の「天皇家の家長」の地位ã‚'å¾-た昭å'Œå¤©çš‡ãŒã€è‡ªåˆ†ã®æ„æ€ã«åã-立憲的にè¼"å¼¼ã‚'å-ã'ながらも戦争に突き進ã‚"でいく姿も見ものであった。

 ã-かã-現在高松宮が昭å'Œ20å¹'の段階で戦争責任の立å 'から昭å'Œå¤©ç!š‡!!の退位・仁å'Œå¯ºã¸ã®å‡ºå®¶ã‚'はじめ自らがæ'‚æ"¿ã«å°±ä»»ã™ã‚‹è¨ˆç"»ã‚'進めていたã"とが判明ã-ている。å¾"来は秩父宮はã"の時期は療養中で表には出てã"ないが、本書にもあるとおり高松宮との連絡は緊密であった。昭å'Œå¤©çš‡ã®æˆ¦äº‰è²¬ä»»ã«ã¤ã„て秩父宮がどう考えたのか、触れられていないのは本書が秩父宮家のå"力ã‚'å¾-て書かれている以上仕æ-¹ã®ãªã„ã"とだろうか。
 戦後é-"もない時期に天皇家は積極的に発言ã‚'行った。枢密院の記録、高松宮のæ-¥è¨˜ã‚‚ã"の時期はあえて非å...¬é-‹ã®ã¾ã¾ã§ã‚る。枢密院での三笠宮の発言などの例もある。昭å'Œå¤©çš‡ã®ã™ãä¸‹ã®å¼Ÿã¨ã-て「å...„å®®ã‚'è¼"弼」するような教育ã‚'å-ã'ていた秩父宮の動å'の解明がå¾...たれる。

永久保存版 ★★★★★
戦前前後を通じての日本。皇族としての生き方。
当時の皇室の様子。兄弟宮としての立位置。等
大変考えさせられ、また一生手元に置いておきたい
一冊となりました。
私の陳腐な言葉ではこの一冊から受けた感銘を
表現出来ないのが残念です。
「昭和史」を真摯にとらえるための必読書 ★★★★★
いま若い読者にとって、“秩父宮”といわれても即座にはわからないかもしれない。が、この本は日本の精神面での近代化を理解するのに必須の1冊だ。雅子妃にお子さまが誕生され、にわか皇室ブームだが、そんな興味本位な姿勢ではなく、日本における皇室の成立過程と二度の大戦を経て変貌をとげてきたさまがページを繰るごとに実感できる好著。
文庫としては異例の分厚さにひるんではいけない。むしろ、この貴重な時代の証言が文庫で読めることに敬意を表するべきだろう。昭和天皇の実弟としての出生と来し方、そして時代の波に翻弄されつづけた生涯。とりわけ日本が軍国へとつき進んでいく瞬間瞬間の記述はどんなストーリーもかすむほどの壮絶なエピソードの連続で緊迫感にあふれている。
晩年の孤独な姿――病床を見舞い、亡きがらに接する昭和天皇の姿からは慟哭をこえた悲しみが伝わってくる。
日本とは? 日本の昭和史にはどんな物語が秘められているのか? 興味本位でなく考えたい人ならいますぐ手にとるべき1冊。