Blues-Ette
価格: ¥1,192
女性ダンサーをあしらった(オリジナル盤の)ジャケットは、蝶が羽根を広げているようにも見えて、ものすごく印象的。ジャケットを見ただけでそのサウンドが聴こえてくるというのは、それだけファンに親しまれている証拠だが、本作やソニー・クラークの『クール・ストラッティン』などは、まさにその代表例といっていい。なにしろジャケットを見ただけで、条件反射的にベニー・ゴルソンの名曲<1>が聴こえてくるのだ。
もちろん本作に聴かれる演奏がこの曲の決定版。編成はハード・バップ時代の典型的なフォーマットであるクインテット。しかしトロンボーンとテナー・サックスという組み合わせがユニークで、その結果、中低域を駆使したふっくらとしたサウンドが和やかなムードを作り出す。ファンキー・ジャズの代表作だが、どこかほんわかとしたムードに包まれているのはそのあたりに原因がある。ブルースを中心にした選曲は親しみやすく、ジャズ入門者にも最適の作品だ。サヴォイ・レーベルといえば、真っ先に本作を思い出す人も多く、同レーベルの目玉アルバムでもある。(市川正二)