静かな曲調があまり好きじゃない私ですが、このシングルはかなり気に入りました。
重苦しさが少ないし、ボーカルの声も高めでしたがそんなに癖が無かったので聴き易かったです。
二曲ともメロディーがあっさりしているのに世界観が濃くて良かったです。

人格ラヂオには、変に売れようとか思わずにこれまで通りのマイペースで地道な活動を続けていって欲しいと思ってはいるのですが、このタイトル曲「額縁」に関しては、もっといろんな人、普通のポップスしか聞かないような人にも聞いて欲しいと思ったりもします。よどんで陰鬱なイメージがある人格ラヂオですが、この曲はそういうイメージとは違い、もっと広い層の人にアピールできそうな要素があります。でも、カップリングの飼育箱ではディープで歪んだ世界観を作っていて、なかなかバランスの良いシングル。
「額縁」はピアノが響く、とても繊細で淡い色合いの曲。全体のトーンは感傷的で切ないのだが、間奏部分はとても華やかで印象的。そんなに似てはいないんだけど、なぜか初期グニュウツールを思い出す。詩もなかなか良い。
「飼育箱」は彼ららしいナンバー。妖しく飛び跳ねるような曲調。意図的に演出された見世物小屋的な安っぽさが妖しい雰囲気を増大させる。切なく胸を締め付けるようなメロディーだが、詩世界はダーク。監禁、SM、倒錯した愛。最近のV系はこういうの減ったけど、ダークなV系が伝統的に得意としてきたような世界観です。

前作も良かった。しかし、今回は悠希さんの声がとても良かった。音楽で、初めて泣いたかもしれない。

声に関して好き嫌いはあるかもしれないが、沢山の人に聞いてほしい。
演奏も凝っていて心地好かった。