繰り返し知る、美しき冬
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東山魁夷さんの瞳を、筆を通して知る、冬。
もう何回も知ってるはずの冬なのに、
どこか新しい。
どこか懐かしい。
大好きな冬が、またひとつ、愛しくなりました。
東山魁夷さんは、世界を愛されていたのだと、
画に触れるたびに伝わってきます。
そして、世界に愛されていたのだということも。
同じように日本の冬を生きていても、
ひとりひとり違う人間だから、
同じように冬を感じ、描くことはきっと難しい。
同じものを見ても、同じようにものを見てるとは限らない。
雪の白さ、
湖の青さ、
夜の闇の深さ。
知ってるはずなのに。
眼差しの違いを感じ、
そしてまた私は、世界の美しさを教えてもらうのです。
私を支えているのは、『雪降る』。
孤独の意味を、淋しさを知るひとがいる。
そしてその淋しさを大切に生きたひとがいる。
絶え間なく降り続ける雪に埋もれて、
私も私の心の中を歩いていきたい。
ただ独りで。
だからこそ、世界は輝くのです。
だからこそ、共に生きてくれることが嬉しいのです。
東山魁夷さんに逢ってみたかった。