特に、有能な官吏また外交官として、深い知性と意志力の持ち主として、その能力を全開にしていた時代について、客観的で判り易く書かれていることに好感が持てる。であればこそ、マキアヴェリが近代政治学の祖とされるのだ。知性に満ちた実務家、交渉屋の経験があったればこそ、現実政治に対する数々の洞察に満ちた著作もできたのだ。
そして、本書の最大の特徴は、マキアヴェリの著作の解説にありがちな退屈な文章による評伝ではないということだ。「90分でわかる」というだけあって簡潔ではあるが、必要なツボはキチンと押さえ、軽妙な筆致で書かれているから、読むのが苦にならない。
マキアヴェリの人生と著作を知るためには、必携。