「棒縛」「附子」「鎌腹」、と公演されることも多い有名な演目が3つそろっている。
「棒縛」はいわゆる太郎冠者もの。外出することになった主人、大事な酒を飲まれないように、太郎冠者の両腕を棒に縛りつけ、次郎冠者も縄で縛ってしまう。さて、二人はどうするか? 動きだけでも面白さが伝わるので、海外での公演が多いという演目。
「附子」も太郎冠者もの。おそらく、一番有名な狂言ではないだろうか。小学校の教科書にも載っていた。「扇げ扇げ」「扇ぐぞ扇ぐぞ」の、あれである。約20年前にこの狂言を初めて見た私は、すっかり狂言好きになってしまった。そのとき演じていたのが、野村万作とまだ襲名前の野村萬斎だった。
「鎌腹」は、自殺未遂の話。よく考えれば物騒でかなり哀れな話なのだが、そこに笑いを見いだし、親近感を感じさせるところに、狂言らしさがあるのかもしれない。ほとんど独り芝居なので、万作の芸が光る、といったところ。
内容は文句なし、星5つでも6つでもつけたいのだが、なんでこんなに高いんだろう?