贅沢な本
★★★★☆
この本の対談は1952年から始まって1998年までに渡って繰り返し行われたものなので
内容が何度も重複しています。加えてその内容が微妙に変っている。
デジタルやCGの無かった頃の話ですので、革新的な映像を撮リ続けたアイデア話も、
現在ではあまり参考にはならないでしょう。
しかし、それを差し引いてもこの内容は贅沢です。とにかく出てくる人の面々がすごい。
ジョン・フォード、コッポラ、ルーカス、コクトー、エリア・カザンといった超一流どころが
黒澤さんと会い、非常に気さくな面をうかがわせます。
そして映像系の関係者には、箴言のような言葉が散らばっている。
「映画は球体である」「映画の創造は記憶である」「映画は料理のようで、その人が感じた味が
その評価である(旨)」「創造への謙虚さがあって創ることができる(旨)」
簡単に抜粋しましたが、実際に読んでいただければ、これらの要約が実感できると思います。
井上ひさしさん、おすぎさん、大林監督といった人たちが語っていますが、どの人も映画が好きで、
黒澤さんが好きでといった様子がわかって嬉しい。
黒澤映画を観ていなくても読める内容です。
創造系の仕事の方、黒澤ファン、そして淀川ファンの方にお勧めです。