まずは模範的な『レニングラード』
★★★★☆
このディスクは、他レビュアーによるとムラヴィンスキーが亡くなった直後の演奏ということである。なるほど、その熱気というか真摯さがこもっているように思う。
コンセルトヘボウとのライブ盤では、最早古典的なシンフォニーとさえ言える様な整然とした演奏であったが、本ディスクにはところどころにこの頃のヤンソンスとは異なった踏み外しがよい意味で見られる。金管の鳴りっぷりやピアニッシモの繊細さはヘボウ盤とも同様だが、不気味な木管、場面転換の思い切りなど、こちらのほうが熾烈だ。早くも20年前の演奏なのであるが、録音は最近のEMIからは考えられない優秀録音だ。
最近の『レニングラード』の音盤には、これと言うものがない。本ヤンソンス盤にこそ指を屈するべきではないか。これに次いでは、大植&大フィル盤を薦める。
(2006年発売の輸入盤全集にて聴取)