小中学生を対象にしたノート術を詳しく解説しています。
自分を含め，系統だったノートの取り方を習ったという方は少ないと思います。本書はそれをていねいに示してくれており，教える立場の方々（教師・塾講師を問わず）に是非読んで欲しい一冊です。

本書の優れた点の一つは，「ノートは何のために取るのか」「科目ごとにとう取ればよいのか」「学年・年齢によってどう指導していけばよいのか」を，実例を挙げつつ明示してくれていることです。
抽象論に終止せず具体的である点が良いです。

また，種類別に複数のノート作成を薦めているのも，参考になります。
「ノートは一冊に集約すべきだ」と考えている指導者や親御さんもいるでしょうが，違った視点や方法論があることを知るのは無駄にならないと思います。

教える立場にある僕にとっても非常に参考になります。
ただ，本書を使って成績が伸びていく子の数は，多くはないだろうとも思います。
それは，決して本書に問題があるわけではなく，本書の方法論が有効なのは，勉強をするのが当たり前という意識を持った子に限られるのではないかということです。
板書事項をノートに写すことすらままならない子や，話をまともに聞けない子には，とても高度過ぎて「使えない」というのが偽らざる本音です。
しかし，これは教える側の努力や工夫にも関わることで，その点でも本書は十分に参考になります。

本書を薦められるのは，指導者・中学受験を考えている親子・中上位レベルの高校受験を目指す親子といったところです。
☆一個を減じたのは，前述したように，あらゆる子に適用できるわけではないと考えたからです。
しかし，強調しますが，本書はそれを割り引いても，非常に参考になります。