コップを洋杯と書くなどいつもはカタカナで書かれる言葉を漢字で書くことによって話にあった古い感じがでています。また、今では余り見ることがない文字(旧字体、ゐ、ゑ等)が使ってあることによりいつもの見慣れている日本語が不思議と新鮮さがましより幻想的効果を持ってきています。
一場面一場面がまさに絵として浮かびあってくるような言葉の美しさがあります。
そして、同じ本に収録されている多数の短編は他の作品とのつながりがあるものも多いので、他にどのような作品があるのかを知るめやすとしても使えます。
話自体とは関係ありませんが、表紙裏には作者の手書きの文字印刷されています。とても綺麗な字なので凄くよい効果となっています。
月彦が祖父から譲り受けた銀時計は夏になるとどうゆうわけか、時刻が狂いだす。その理由を今年こそは突き止めようと月彦は考えていた。ある日、野ばらの垣根に囲まれている空家の前を通りかかった月彦は、中を覗いて見たいと思う欲求にかられ、そこで2人の少年に出会うことになる。薄水青のリボンを結んだ黒い瞳の美しい少年「黒蜜糖」と、白いシャツブラウスを着た端正な顔だちをしている「銀色」。この2人は銀時計の謎を解く重要人物だった。月彦は2人に出会い、忘れられないひと夏の思い出を作ることになる。黒蜜糖と銀色と云う少年はいったい何者なのか?長野まゆみさんが描く少年達のファンタジー。