著者の唯一の良著
★★★☆☆
Web2.0やライフハックが話題になってきた中でタイミングよく出版された本。
内容は前面にライフハックを押し出したものでなく、「自分はこう思う」「こういうことをやっている」ということを
ナチュラルに書いており、読みやすく好感が持てる。
これは、今思えば、著者のライフハックで食っている的な意識が余りなかったせいだと思う。
著者は現在はEvernoteに傾注しているが当時はRememberTheMilkが流行っていたのでそれに関しての記述も多く
若干の古さは否めないが、一般的な事も書かれているのでこういう本を余り手に取った事のない読者には参考にはなるだろう。
但し、これ以降の著作では前面にライフハックを押し出したものになり、言い方は悪いが
「ライフハックで食っていく」感ありありのガツガツした印象を受ける。
他のライフハック系著書と同様、焼き直しやWEBのどこかで見た事のあるような内容、無料で出来るツールの紹介や
ガジェットの使い方に留まっており、読む価値は低くなっている。
その意味で著者の最後の良著といっていいのではないか。
元祖ライフハック本
★★★★★
これまた、ライフハックスの本。ほんとに最近流行ってるなぁ。ただ、新書版ではライフハックスって銘打ったのは初めてかな?
それに、著書は心理学ジャーナリストということで、ほかの人のライフハック本と異なり、いかに「仕事をやる気にさせるか」という視点から書かれており、いちいちうなずくことばかりだった。
特に「長期計画を立てること」に反対、ということは私もずっと思っていた。もちろん、最近多い社長本(こんなジャンル、ある?)に書かれているように、自分の20年後を思い描くことって、大切なようなことに思える。でも、それって、今の自分には無理だな。
今の自分は、この数年間の仕事をいかに充実したものにしていくか、それを考えるだけで精いっぱい。自分が何に20年後しているかなんて考えたくもない。
そのほか、彼が実践しているライフハックを細かく、説明していて、なかなかためになる。彼と同様、自分もGmailにほとんどの情報を集約するようにしている。Gmailって単なるメーラーではない、って気づくと、いろいろな使い道を思いつく。
ほかにも、電子ファイルのフォルダとタグについての考え方は、ちょっと面白い。というか次の文書管理システム構築のときに使えそうなアイディアだ。
結局、情報は一元管理、少なくともディジタル1カ所、アナログ1カ所にすべきで、それをうまくミックスすることというのは、ライフハックスの極意なのかもしれない。
考え方は参考になりました。
★★★★☆
2006年の発行ということなので
技術的には若干古さを感じます。
しかし、既存の整理術ややる気の出し方を
デジタルなものとうまく組み合わせているので
参考になる部分は多いと思います。
専門家になる方法
★★★★★
誰かから仕事を頼まれたとき、「いつまでにやればいいですか」と聞きます。
そういうとき「なるべく早く」と言う人がいますよね。
こういう人はぼくは信用しません。
とてもプロだとは思えないからです。
そりゃ誰だって早くやってもらいたいですよ。
早くやってくれれば、自分の方が楽になりますからね。
自分は余裕のある時期に、その仕事に着手できるからです。
早くやってもらえれば、自分が始めないとならない時期まで机の上に放っておくこともできるのです。
つまり、「なるべく早く」という人は、他人には無理な要求をし、自分に有利に導こうと考えているわけです。
まー、卑怯な物言いなわけですよ、意識していないと思いますが。
そのことは心しておきたい。
まー、この手の人は得てして、机の上に放りっぱなしにしておいて、ギリギリな時期になってあわてて始めたりするんですよねー。
そして結局、締め切りに間に合わなかったりしてね。
プロ(=専門家)と呼べる人は「なるべく早く」なんて絶対に言いません。
もっと具体的に期日を決められる。
何月何日まで、何月のこの週までに、何月下旬までに、など。
なぜ決められるのかと言うと、段取りが「見えている」からです。
仕事とは、誰かからパスされたものを、誰かにトスするようなものです。
前段取りと後段取りが見えていれば、自分の作業時間が見積もれる。
さらに、自分と相手の状況(抱えている仕事量、能力、性格など)も把握して、余裕をもった期日を見積もれるわけです。
では、プロ、専門家になるにはどうすればいいのでしょうか。
佐々木正悟『ライフハックスー鮮やかな仕事術』MYCOM新書¥819-から引用します。
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(仕事を成し遂げるのに)大切なのは、
一に始めること、
二に見通し、
三に不安にならない
ことだということがわかる。
さらにこの三つを突き詰めて考えるなら、もっとも大事なのは「見通し」であることがはっきりする。
見通しがはっきりわかっていれば、始めることはできるはずだし、不安になることも少ないはずだ。
専門家というのは、仕事を最後までやりきった経験をたくさん持っているから、見通しを立てられる人だということになる。(134p)
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そうなんです。
最後までやりきった経験をたくさん持つ、ってことなんです。
そういう経験が蓄積しているから、いつ始めればいつ終わるのかわかる。
最後までやりきった経験がないと、いつ始めたらいいのか分からないし、自分がどのくらいの能力があって、どのくらいの量をどのくらいの時間で終わらせることが分からない。
見通しが着かないから不安になります。
だから「なるべく早く」なんて言ってしまうわけです。
小さな仕事でも、ある仕事のある部分でもいいから、自分で最後までやりきる経験を積み重ねる。
自分で最後までやりきると言っても、全部自分一人でやらなくてもいいですよ。
誰かに教えてもらってもいい、手伝ってもらってもいいんです。
でも、誰かに丸投げはしないことです。
丸投げしちゃうと、その部分の経験が欠落しちゃいますからね。
全部自分が主体的に関わって、最後まで仕上げてみる。
それがプロ、専門家になる方法なんだと思います。
真っ当な「ハックス」
★★★★★
心理学者の書く「ハックス」。と聞くと、やたら精神論や心理的な分析に偏っているかと
思いましたが、心理学分析をバックグラウンドに実際的な「ハックス」を惜しげもなく
紹介してくれます。
野口悠紀雄氏の「超整理法」を鵜呑みにせず自分なりにアレンジしているところも
興味深いです。
「夢を手帳に書く」とか「なりたい自分の姿をうんぬん」とかのちょっと辛気臭い自己啓発系の内容は一切なく実用一点なところがGood!
この本を読んでRemember The Milkを始めました。