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日本のインテリジェンス機関 (文春新書)

価格: ¥714
カテゴリ: 新書
ブランド: 文藝春秋
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インテリジェンスとくればこの人 ★★★★☆
 ミスター内調、ミスターインテリジェンス機関といえばこの人である。前著「インテリジェンスを一匙」の
続編という位置付けで、今回も面白く読んだ。
 内容は読んでのお楽しみということだが、日本の場合、「情報機関の設置を」というと、どこか胡散臭く
どこか根拠のない大国主義意識の発露にように思えてしまうが(つまり信用できない)、この人のだけは訴えに説得力をもつ。

 それは間違いなくこの人のキャリアからきているものであろ。警察官僚から内閣情報調査室室長として、インテリジェンスの
前線で汗をかき走り回った。にもかかわらず、訴える中身は決して大げさなものではなく、できることから始めようという、
どことなく安心できる内容だ。

 前著でもそうだが、本書には筆者の人柄がよく出ている。決してスーパーマンや格好いいスパイではなく、
がんを患いながらも(おそらく筆者の人生観にはがんが大きな影響を及ぼしていると思われる)、地道に情報機関の
必要性を訴えていく。賛否は別にして安心して読める一冊である。
日本のインテリジェンス機関 ★★★★☆
元内閣情報調査室室長による、内調の役割と歴史、および情報機関のあり方について検討された一冊。筆者が本文中でも指摘しているが、いわゆる「謀略」とは全く無縁な情報機関である内調の実態がよく分かる一冊になっている。

内調の地位を反映したのか筆者の人柄のなせる業かは分からないが、筆者の主張は控えめと言っても良いほどの調子であり、現実的な提案がなされている。国家情報機関の総元締である「対外情報庁」構想にしても、人材の供給先に配慮するなど、事務的なことまで視野に入れて語られている。

もっとも、内調の室長がCIAの高官との議論についていけなかったという話には(p.133)、少なからず危機感を覚える。本人は、「やさしい、分かりやすい」情報を大量に読む手法を取ってきたことを反省の弁としているが、仕事に就いてから専門書を読み漁ることは、多忙を極める職務の性格上、不可能だろう。人事を決定する際に、文化や政治などにも精通している人間を室長に選ぶか、もしくは学者を招聘した研究会にて室長にそれらを学ぶ時間を与えなくてはならないだろう。

内調の役割から始まって、政府内のインテリジェンス機関の関係性も窺うことができる。日本政府におけるインテリジェンス問題に興味がある人には、ぜひ一読してもらいたい。
インテリジェンスとは?という方に ★★★★☆
内閣情報調査室室長を務めた著者による、回顧録めいた現在の日本のインテリジェンスに関する提言、と申しましょうか。
自分の任期中に関わった各総理大臣との思い出話は読んでいて面白かったが、同時に一人の官僚が一つのポストを勤め上げる間に、これだけ国のトップが入れ替わりたちかわりしているという現状に愕然としたのも事実である。
情報をどうしても軽視しがちな傾向のある日本社会、日本人の変わらない理由を求め、しかしながら一時期ではあっても日本が諜報活動を行い、それに成功し適切に情報が使えた故に、英国など大国と渡り合えた事実も提示し、日本では無理という論調を打破しようとしているところに、切実な願いを感じ取った。

英国型、米国型などさまざまなインテリジェンス機関を引き合いに出し、日本に適している型を提示しているのだが、あまり日本国内でメジャーではないオーストラリア型などに関してはもう少し解説がほしかった。


しかし回顧録めいて、やさしい文体で書かれているので、インテリジェンスとは何ぞやといった読者にはうってつけの入門書であり、非常に読みやすいと思う。

元内調室長による「研究ノート」 ★★★★☆
 元内調室長である筆者による一連の著作は、昨今のインテリジェンス・ブームに大きく寄与していると思われる。内調は秘密のベールに包まれているが、本書は内調の仕事の一端を明らかにしており、大変興味深い(ただし、本書で明らかにされているのは内調の仕事の一端に過ぎないことはよく理解されるべきであろう)。

 本書の魅力は何と言っても、内調室長時代の経験談が筆者独特の洒脱な語り口によってかなり奔放に語られている点である。特に、歴代の総理とのエピソードはどれも必読。本書の難点は、体系性が無く、エピソードをつなぎ合わせて一つの本にしたようなところがある点だが、このおかげで本書はとっつきやすい読み物となっている。
「優秀な秘書課」であった内閣情報調査室 ★★★★★
「内閣調査室」という言葉を初めて知ったのは、確か平井和正の「ウルフガイ」シリーズでした。「内調室長の矢島」という凄い美貌の野心家が、狼男の不死の秘密をめぐってCIAを手玉に取ろうとする話で、非常に印象的でした。(読んだのは30年前なのに、今も「矢島」という固有名詞を覚えているくらいです。)「内調」は、おどろおどろしい「日本の権力の暗部」を象徴する記号でした。

年を喰ってくるに従って「内調」というのはどうもそういう組織ではなさそうだなぁという感じがしていたのですが、本書を読んで非常にスッキリ理解できました。安全で退屈な「お役所」、それが「日本のCIA」と悪名が鳴り響いていた「内調」の実像だったのです。

もちろん、内調だって無能ではありません。本書にも「韓国要人の実母が日本で非公式に入院しているのをキャッチ、官邸首脳の名前で見舞いの花を贈ったところ感激された」という「成果」が紹介してあります。実に心憎い気配りであり、内調は良い仕事をしています。ただし、その優秀さは情報機関としてのそれではなく、「秘書」としてのものだと思われます。優秀で誠実な「総理の秘書室」というのが、いちばん実態に近いのではないでしょうか。

内調が情報機関でなかったとすれば、我が国は本格的な情報機関を持つことなく60有余年を過ごし、しかもその間に世界第二位の経済大国になりおおせたということになります。それは、おそらく世界史上稀に見る幸運であったと思われます。しかし、幸運がいつまでも続くことを期待することはできません。少なくとも国家に対して責任ある立場の人間が、幸運を前提にものを考えるようでは困ります。今日の日本は、自前のインテリジェンスを持つべき段階に達しており、大森氏のような専門家の意見は虚心に傾聴されるべきであると考えます。