恋愛マスター島村洋子の短編集です。
ちょっと怖い恋愛が多いですが…とてもいいです！
いろいろな、恋愛（不倫・略奪愛）が描かれているので、見てください。

恋愛小説が好きで、色々読んでいるが、島村洋子の作品は2作目。前回読んだ短編集（LOVERS)の中の作品が気に入り、もっと読んでみたいと思った。作品の題材は現代風でありながら、不可解ではなく、巧みな心理描写で読む者を惹きつけていると思う。奥の深い作品が多いので、これからも読んでゆきたい。

水色の表紙が、とても綺麗です。
女性視点の、恋の話の短編集。ハッピーエンド的な話ではないです。騙され、振られ…それが不幸なのかどうかはともかくとしまして…。
結婚など意識しつつも、どこかうまくいかない恋の行方。それは、不倫のせいだったり、強がりだったり。思い通りにならないのは、恋の行方か、自分の気持ちか…。
「密閉容器」、「代用品」をはじめとして、女性的な心理の描き方が特徴的でおもしろい。密閉容器の、最後まで強がっているあたりなど、分かる気もして。「偽妻」の、女性同士がなかよさげに話す感じなど、非常にリアルで怖い感じがしますし…。
「嘘恋人」や「数字屋」は、恋愛とは別の部分で詐欺や電話番号販売といったちょっと特殊な業種が描かれていて、おもしろかったかな。
源氏物語を素材にとったむらさきなども、モチーフや、それぞれの女性の対比などうまく出来ている気がします。ただ、ちょっと偶然が偶然すぎるような感じを受ける作品もあるかな…。

何度も何度もページをめくっては元に戻りして読み進めました。
子供を亡くした親の話です。

最後のほうの一行が胸にしみます。
あえてそれがなにかは書きませんが
是非あなたの目でそれを確かめてほしいと思います。

島村洋子さんの本は、「ビューティフル」もお薦めです。
心にぐっとくる一行が何個か出てくるとおもいます。

女性の日常を書いた作品だったので、共感できる部分がありました。ただ、暗い話ばかりでした。けれど、表紙も女性作家らしいし、いつもなら飽きてしまうのですがこの小説は短編集になっているので全部読む事ができました。