本には読んですぐストレートに感動が伝わっきて、おそらく誰もが同じような感想を持つだろうと思われるタイプのものと、ボディーブローのようにじわじわと後から感慨を覚えるタイプのものがあると思うが、この本は後者のタイプだった。読書感想文用に一読してみる、というのでは、味わい尽くせないと思う。
説教くさいものでもなく、子供でも楽しめる物語として純粋に読み進めることが出来る、実は大人向けの本かもしれない。
どんな動機で読むかによって、心に響いてくるところが変わるだろう。一読後、しばらく本棚に放置されてて、ひょんな切っ掛けで再読すると、びっくりするほど深く頭に入ってくることもあると思う。更に響く部分もその時々でおそらく変わると思う。だから、棚の肥やしになっていても、売り飛ばさないほうがイイと思う。読み手の状態によって変幻自在にメッセージが変わる不思議な本・・だと思う。

ラップランドの小さな村に生まれたトゥロ少年。
幼いときから父親に民族で受け継がれた自然のなかで生きていく術を教え込まれた。
しかし、彼はとてつもない才能の持ち主だった。
彼の聡明さに気づいた父親は息子を学校に行かせる。
学校でも美しい言葉で詩を書き、あっという間に言葉を身につけてしまった少年を教師は賞嘆する。
そんな彼の幸せな日々も大黒柱である父親の死、トゥロの大怪我、自然の力を侮ったための悲しい事故、そして一家は没落し、貧しい中で２人の子供を育てていた母親の突然死で彼は両親を失ってしまう。
やさしいおじさんの助けでどうにか生活していたのだが、ある日村は大雪にみまわれ人々の生活がままならぬものになってしまう
そこでトゥロは得意の凧で星を手に入れるのである。
そして光を放つ星は村人の間で騒動を起こしてしまう。そして星に導かれるままトゥロがとった行動そして、彼が書き残したものは・・

非常に美しい物語です。星獲り少年トゥロの物語と感動すると同時に、厳しい自然の中で生きているラップランドの人の生活、彼らの英知、おじさんのかたった本当に大切なものを軽薄現代文明で失いつつあるその悲しさも感じました。

ラップランドの神話も今度は読んでみたいと思います。

主人公トゥロの父が事故で、母は仕事の無理がたたり両親共に死んで、妹と二人取り残されてしまいます。トゥロ自身も事故で足が引きずる程度しかできなくなってしまいます。その絶望に近い状態で不思議な夢を見ます。その夢を信じてトゥロが凧をあげ星を引きつかまえたのがアカバールです。
アカバールは人間の貪欲の悲劇で死んでしまいます。しかし、トナカイ達のメッセージで再び凧を上げ今度は星のリーラを引きます。そのリーラがアカバールが死んでしまってできなかった「グレデンダ」をトゥロに伝えます。最後は読んでのお楽しみ。オグ・マンディーノらしいよい本です。

大人たちは少年がたこで捕まえた星を使っての損得を計算する。
少年はただ村を明るくしたかっただけなのに、やがて星の光は大人達の心もてらし目覚めさせる。
星のお話し、いいですね。
是非ご一読を。

書店で凝った装丁デザインを見て出版社の意気込みを感じて購入。

美しい情景描写に心惹かれる。
オグ・マンディーノの著書の中でもっとも叙情詩的な作品だ。
星のメッセージの素晴らしさがこの本の核心の部分であると思う。
それに対比されるように語られるのは、大人たちの恐れと醜さ。

しかし、あまりにも現実離れしているエンディングにはついていけなかった。
描写にうっとりとしていた私の心は、物語から完全に引き剥がされ冷めてしまった。

著者の他の作品の感覚をイメージしていたために、期待はずれになってしまった。

残念ながら、著者の作品の中では決して薦められない本。