イングリッシュ・ガーデンの原点は、樹木と湖水を囲む芝生が主体の18世紀の「風景式庭園」で、花の咲き乱れる空間ではないと言う話など面白いが、科学と文明の発展に棹差して、自然の優しい環境の中に安らぎを求めようとする現代人の恋願いが、その人気の秘密なのかもしれない。
イギリスの庭園は、大陸のベルサイユやサンスーシーやウイーン等の王宮の庭園の様に力尽くで作り上げた幾何学文様の造形や煌びやかな彫刻で装飾された派手さは無いが、どこかカントリー風でワイルドで、崩れかけたギリシャ風の建物がある等自然に溶け込んだものが多い。そして、そのままそっくり、周りの美しくて優しい田園地帯の風景に調和しているのである。
語られているのが、古いカンタベリー・カテドラルの庭園は娘の大学卒業式場であったり、ハンプトンコート宮殿庭園はホセ・カレラスの野外コンサートの場であったり、また、シェイクスピアを訪ねて歩いた庭であったり、実際の生活や旅で接した庭園が多かったので、懐かしく反復しながら勉強させて頂いた。
希望は、たった1ページ、庭園のロケーションをプロットした英国地図を添付して頂きたかったこと。