コンパクトで中身充実
★★★★★
小西甚一 『古文研究法 』 とおなじ洛陽社の本だけあり、こちらも質実剛健な参考書。
タイトルに 「やさしい」 とあっても、中身は 『古文研究法』 の基礎編とでも呼べそうな本格派。
小型で薄い本 (ハードカバー 296頁) ですが、ふつうの受験には、これ一冊こなせば十分と言えそうなボリュームがあります。
本書の特長は、情報がコンパクトにまとまっていること。
段階的に学習していく方式ですが、いちどに覚えきれない内容は、わかりやすく以下のような一覧にまとめられています。
*読みのむずかしい古語、 *重要な古語、 *動詞,形容詞,形容動詞の活用表
*助動詞の活用表、 *助詞の種類とはたらき、 *おもな枕詞、 *おもな季語
*小倉百人一首(全) など。
そのため、それら項目を、いつでも辞書のように参照できるというメリットがあります。
私自身は 『古文研究法』 を先に購入しましたが、もっとコンパクトで初歩的な情報を記載した参考書がほしかったため、あらためて本書を購入しました。
内容構成は、つぎのとおり。
・「準備編」 古文学習の要点と文法.
・「基礎学習コース」 重要な古語,有名な古典作品についての解説.
・「問題研究コース」 各種入試問題を解きながら,学習のポイントを指導.
・「付録」 作品年表,昔の風俗や生活習慣など,古典常識に関する情報.
前半で、文法と重要単語および有名な古典作品のさわりを学習し、後半では、さまざまな入試問題を解きながら、古文への理解を深めていきます。
後半の問題は、すべて古典作品の読解が中心となっているため、本書の学習をつうじて読む古文は、けっこうな分量になるはず。
本書は、受験生だけではなく、古典を原文で読みたいと考えている社会人にもオススメ。 (ただし、文字が小さく読みにくいという難点があります)
問題を解きながら解説していく方式なので、古文の知識がどれくらい身についているのかを、自分で確認しながら学習を進めていくことができます。
おなじ著者の 『古典漢文の基礎』 も、よく知られた優れた漢文参考書です。