夏のマストアイテム
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おそらく、Jポップスの歴史の中でも、"夏"をテーマにしたアルバムとしては五指に入るほどの名盤ではないかと思っています。南海のリゾート地から近くの海水浴場、避暑地の夏景色まで、様々な"夏"のシチュエーションが柔らかなタッチでスケッチされている楽曲集です。
オープニングのビージーズの「失われた愛の世界」を想わせるイントロから始まる水彩画のような「掌の夏」、気だるい夏のひとときを切り取ったような「河口にて」、白日夢を見ているかのような「午後のプレリュード」など、佳曲揃いのコンセプト・アルバムに仕上げられています。
「乱反射」や「SHOWER GIRL」などの歌謡ポップス色の残る作品もアクセントとして効いているのですが、欲を言えば、もっと冒険して、南米、カリブ海系のサウンドを下地した作品と差し替えてほしかったという思いもありますが…、それでも、大瀧さんの『ロング・バケーション』前夜の"夏色アルバム"としては、群を抜く1枚だと思います。
あなたに絵葉書送りましょうか
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昔々。1980年。発売から1年後の夏、高校2年生だった私の愛聴盤でした。乏しいお小遣いを工面して買ったLPだったこともあって、本当に擦り減るぐらいターンテーブルに乗せたものでした。
あれから幾星霜。そろそろ30年目の夏に聞いて感激を新たにします。このよさがわかるのは、私だけだろうという気分、マイナーポエットを愛でる感覚です。
私にとってのベストは、B面3曲目の「午後のプレリュード」。歌詞と間奏部分のギター・ソロのブレンドが絶妙です。どなたか、このアルバムセッションのスタジオ・ミュージシャンをご存知でしたら教えて下さい。元のLPにも記載がありませんでした。
夏に捧げる。
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太田裕美は私が高校の頃、ちょっと気になる存在でした。でも夢中になるほどでもないし、曲もまあそこそこといった程度でした。そんな中『「木綿のハンカチーフ」ブーム』(?)も去って、一般には彼女がちょっと忘れられかけた頃の初夏に出会ったのがこのアルバムでした。
当時私は大学生でしたが、人生上の大スランプ期で、講議にもめったに出ず夕方起きて明け方に眠りにつく悪パターンにはまってしまっていました。そんな自己嫌悪の日々をフワーと救ってくれたのが、友人Yから借りたこのLPでした。夏の解放感・けだるさが、まどろむような詞と彼女のボーカルとで綴られていて、太田裕美のアルバムの1枚というより、私にとっては宝物のような特別な存在です。「掌の夏」「サマータイム・キラー」そして「午後のプレリュード」など、まさに日常のゴタゴタから逃れて、避暑地で夏の日射しをのんびり楽しんでいるムード。彼女独特の舌足らずな感じも、ここではよりいい味わいになっています。夢見心地です。
安心しました、良い!
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このアルバムから、松本筒見路線から、色々な人の作詞作曲への転換を図りました。かなり昔に聴いた記憶がありますが、殆ど忘れていたので、CD買いなおして聴いたところ、良い!曲も素晴らしいし、アレンジも(アレンジャーも変わった)最高。とくにこのアルバムのアレンジは、僕の聴いた裕美さんのアルバムの中では、ドラムのアレンジが派手で最高。ドラムの録音ミックスレベルも高めな気がします。ドラム好きの僕には、超うれしい。ベースも結構イカシタアレンジで、良いです。「フィーリング サマー」のタイトルとおり、初夏のイメージがぴったりな曲が揃い、全く文句ありません。特に一曲目が最高に気持ちいい。前作「海が泣いている」よりも、僕の評価は上です。ああ、買い直してよかった。
夏にお薦め
★★★★☆
それまでずっと筒見京平が楽曲を提供(「背中合わせのランデブー」を除く)していた太田裕美のアルバムだが、このアルバムでは完全に筒見ワールドから脱却しており、曲も筒見京平のポップ調から、ミディアムテンポ調の楽曲が多くなっている。「手作りの画集」がカントリーポップ、「こけてっしゅ」が洗練された都会のポップスだとすると、このアルバムはちょっと田舎の夏、という感じがするアルバムである。
1曲目のイントロがいきなりビージーズを思わせ、また、アレンジもそれまでの太田裕美作品にないようなものとなっている。湘南の海あたりで聞きたい曲である。2曲目はけだるい、夏の日の午後を思わせる曲。「A distance」は、波の音が効果音で入っており、海辺の岩場を思わせる曲である。「星がたり」はその名のとおり、夏の夜に星を見ながら聞きたい曲。
全体的に、太田裕美のアルバムの中では一番意識して「夏に聞きたい曲」を集めたアルバム、という感じがする。やや、音を意図的にいじり過ぎている、という感がないでもないが、それも良い意味で効果を挙げている。