いまだに破られていない記録
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ジャムライスのホームページで、文字化け日記という最近の連載を知りまして、10年ぶりのヤマシタエッセイとのこと。文字化けのタイトルからそうで、インターネット上で読まれるのにピッタリといった間合いで、絵文字文化的ぎゃぐが、そこかしこに埋めこまれてるのに興味津々。
山下洋輔近著をパラパラとみてみると、集英社の「ドバラダ乱入元年」が、小説ドバラダ門のその後を補足したエッセイという体裁をとりつつ、面白ネタ・話題が練り込んである傑作小説といっていいものにみえた。
それで、山下洋輔ニューヨークトリオのニューヨークの日々やエピソードをえがいた「風雲摩天楼まてんろう秘帖」、演劇の鴻上尚史氏らとニューオリンズからセントルイス、カンザスシティと地元のミュージシャンと演奏しながら旅していく「アメリカ乱入事始め」なども読みなおしてみた。
やはり不動の面白さなのは「エッセイ・コレクション」にも収録されている、(ピアノ弾きよじれ旅)、(跳んだ)、(ピアニストを笑え)、(ピアニストにご用心)の名作(ピアニストを二度笑え、手を出すな・未収録)。
70年代からのヨーロッパツアーやジャズフェスティバルでの即興や演奏場面の描写の刺激、本を読んで笑いころげるというまれな、爆笑ネタの飛躍していく傑作の数々。ハードボイルドタッチの東西ヨーロッパ演奏旅行記のなかには、抒情的で感動的な話もあって、ジャズ・ミュージシャンによって書かれた、いまだにこえられていない青春ジャズマン旅話。