ヒマラヤの神秘の入り口がわかる本
★★★★☆
ヒマラヤでヨガの究極の体験であるサマディを体験したという筆者。
その筆者が修行の旅をしながらサマディに至る道のりと、サマディによって得た理解をもとに日常生活における悩みを作りだす心の性質を解説し、それを乗り越えるためのプログラムを紹介するのが主な内容になっています。
本書が最もユニークな点は、日本人女性である筆者がインドの聖者に導かれてサマディに至るまでが、本人の言葉でかなり詳しく描かれていることです。
「あるヨギの自叙伝」や「ヒマラヤ聖者の探求生活」といった、伝統的ヨギを紹介する古典的名著もありますが、それらは一昔以上前にインド人や西洋人が書いたキリスト教徒の多い欧米の読者向きの本で、日本人には理解しにくいことも多いものです。ところが本書は現代の日本人が日本人のために書いたもので、著者が新鮮な体験に感激する様子などが、よく伝わってきています。
また、私たちを悩ます怒りや執着や思い込みがなぜ起こるのか、それらが解消しないのはなぜか等といった心の問題に対して、ヨガの世界観をもとにその仕組みを平易な言葉で説明してくれています。
難点はと言えば、まず英語やサンスクリットやヒンズーの専門用語が多く、その内容が明確でないことです。特に核心であるサマディ体験や心の執着などから開放されるプロセスは、専門用語になじみのない人は難しく感じるでしょう。
もちろんその内容は秘教であり、言葉では言い表せないことですから、仕方のない面はあります。しかし、ヒマラヤの旅や日常の心の説明が具体的で分かりやすいだけに、そのギャップに肩透かしを食らった感もします。
また、悩みから解放されるためには、「インド人以外で唯一ヨガの最高の境地にある著者のプログラムが、最も確実で簡単な道だ」という主張が本書全体を貫いている点も、評価が分かれるところでしょう。
このしつこいくらいの繰り返しに著者のエゴを感じる人にとっては、先述した核心の曖昧さとあいまって、本書すべてが胡散臭く感じられるかもしれません。
一方、素直に「そうか、この人はすごい。そういうプログラムもあるんだな」と、シンプルに受け止める人には、一つの道を指し示す本であって、本書の一語一語から、多くのことを得られると思います。
ヨガと瞑想の真髄
★★★☆☆
ざっくり言えば著者のヨギとしての自叙伝、ヨガ・瞑想の理論的側面及び精神論・生き方論の3要素が盛り込まれた内容で、個々の内容は中々いいのだが、1冊に盛り込み過ぎという印象かな。もっとテーマを絞った方がよかったのかもしれないが、まあ読みたいパートだけ読んで不要なところは読み飛ばすという割り切りがあれば結構いい本かもしれない。
ヨガや瞑想の真髄を説明するためにサンスクリット語(もちろんカタカタ表現だが)が多用されているので多少とっつきにくいところがあるが、この手の内容を説明する時に有りがちな哲学的な硬い言い回しで無く、平易な言葉で説明されているので素人でも容易に理解できる分かりやすい内容だ。
巷に溢れる様々なヨガや瞑想の情報は、内容の浅薄はあれども殆どが万人受けする健康法や能力開発に的を絞ったテクニック中心で、(巷の宗教で説かれているような教条的なレベルを超えた)真理に至る為のものという本来の目的/真髄はノータッチか断片的・曲解的あるいは理解困難な哲学的お遊び議論に終始している感がある。しかし本書はヨガや瞑想の本来の目的/真髄を余すとこ無く誰でも分かる平易な言葉でずばり語っているので、その点は一読千金の価値があろう。
しかし、著者本人の生講演だと、話がもっと軟らかく笑いを取りながらも、話を聴きに来た参加者の個々人それぞれに向けて、魂に語りかけるような深い気付きのメッセージを何気に盛り込みつつアドリブで話が展開されるだけに(こういう芸当はさすがに公開サマディを幾度となくインドで行ってきたヒマラヤ古来の霊統を受継ぐヨギだからでしょうが・・・)、そういう類のメッセージパワーに劣るのは、書籍という文字媒体の悲しさ・限界で残念なところだ。
まあ、そういう意味で、(生講演は★★★★★+αだけれども)本書は★★★と少し辛口評価としましたが、今までのヨガや瞑想で行き詰まりや疑問を感じている人や、見えないゴールを求めて精神世界をグルグルと彷徨い探求している人には特にお勧めかもしれません。
悟りに関して最高峰の内容だと思いました!
★★★★★
いろいろな瞑想の本を読んだりやってきましたが、どうもいつも何か疑問点を感じてきました。でもこの本を読んだら、「これは本物だ!」と痛感しました。怒りとか、悲しみとか、不安とか、人間レベルでどうがんばっても超えられないエゴや心を、どう理解して、溶かして落としいくか、の答えがわかりました。私も普段家族や職場の人間関係で悩んでいて、どうしても「あの人が悪い」と相手のせいにしがちです。でもすべての原因は私の心が作っていて、その心を超えて、囚われなく、自由で愛に満ちた人間になれる方法があるというのです。そんな世界があるなんて、今までわかりませんでした。今いろいろ悩みを持っていたり、これからどう生きていこうか、悩んでいる方にぜひ読んでみてもらいたいです。希望が見えてくると思います。