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孔子伝 (中公文庫BIBLIO)

価格: ¥940
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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斬新な孔子像 ★★★★☆
白川静の本を読むのは初めてだったがこの本は当たりだった。
孔子についてのさまざまな斬新な見解が述べられている
(孔子は巫女の私生児だったとか、荘子がむしろ孔子の思想をもっともよく継承しているとか)。そしてそれが却って面白かった。
いろいろな資料に基づいてそう語るので説得力があって、謎解きをしているようで楽しい。

中国古典だけでなく漢字や古代文化についての該博な知識、それだけでなく、もっと人間的な体験の深さに裏打ちされた文体には独特の味わい深さがある。

あと孔子だけでなく、墨子や孟子、老荘思想のバックグラウンド、当時の社会情勢などについてもページを割いて色々考察しているので楽しい。

孔子というより白川静という個性の方がより身近に感じられる。

名著だと思います。
読み通させる力 ★★★★★
「孔子」=「『論語』を書いた偉い人」という基礎知識だけで
読み始めたのですが、非常に楽しめました。

難しい熟語も多いので100%内容が理解できたというわけでは
なく、そういう本の場合、だんだん不満がたまってきて
投げ出してしまうことが多くて心配だったのですが、
本書は必要なところで必要な復習をしてくれる構成をとっており、
「読み通させる力」を持った書物といえます。
名著である。中国思想の奥深さを感じた。 ★★★★★
 その言葉が数多残っているとは言うものの、あくまでも誰かからの言い伝えで、自らの著作を持たず、その実像がなかなかわからない孔子。
 白川先生は、非常に論理的な筆致で、孔子の出自やその思想の背景、歴史的な役割などを描き出している。
 「論語」に関する解説も、いわゆる教訓としてではなく、どのように形作られてきたのか、歴史的な視点から考察している。やはり、誰がどのような境遇で発言したのかが実感できると、言葉の重みが一層伝わってくる。

 中でも特に気に入ったのが、「儒教の批判者」の章である。荘周(荘子)の考えはいわゆる老荘思想といわれ、一般的には儒教のカウンターカルチャーと位置づけられているが、白川先生は、むしろ孔子の最大の理解者であった顔回の流れを汲む者だと仮説を立てている。荘周が攻撃したのは堕落した儒教であって、儒教の真の姿への回帰を目論んでいたのだと主張している。
 確かに、儒教自身は封建主義の精神的な基盤として長く君臨してきたが、孔子の辿った生涯を考えると、決して体制維持のために考え出された思想ではないはずである。むしろ荘周の立場に近かったかもしれない。
 韓非子にしてもそうであるが、古代中国においては思想が対立しているというよりも、種々の思想が互いに影響を与え合って存在している。それが中国思想のスケールの大きさに繋がっていると思うのであるが、白川先生はその辺りを描き出すのが非常にうまい。
一途なる学者、入魂の「孔子伝」 ★★★★★
 本書は、偉人の単なる伝記ではない。そういう部分があっても、焦点は最後に「人格」を究明することにしぼられる。博学にして名を成すところのなかった孔子を総括する、巻末の次の一節が注目される。「孔子は偉大な人格であった。その偉大さがどこから生まれてきたのか、またそれはどのような意味で偉大であるのか、それを問うことが私の課題」であったという。中国の伝統文化がなお深く息づいているとき、ノモス(道徳律)化しようとする社会で「仁」を説いた。「一日己れに克ち礼に復らば、天下仁に帰す」(「論語」顔淵)と言われるように、存在の根拠にこれを置いたのである。しかし、現実の孔子はつねに敗北者だった。しかし、それでこそ孔子はそのイデアに近づくことができたのである。そのことを一番よく理解していた愛弟子顔回に先立たれる。孔子の高くきびしい人間精神の探究は、つねに反ノモス的であったと、繰り返し強調する。
 本書巻末で解説者が、高橋和己の「わが解体」を引用し「S教授の研究室だけは、大学紛争の全期間中、全学封鎖の際も,午後11時まで煌々と電気がついていた」と敬服の言葉が綴られている。その頃「孔子伝」執筆の時期に重なる。「残念ながら文弱の私」と卑下する高橋和己…当時闘う学生たちの共感を得ていたが急逝…以来37年が経つ…後輩としてご供養に書き添えました。
難しいけど読み通したくなる本 ★★★★★
 孔子という人がどのような人物であったのか、実際はよくわかっていませんでした。ただ、日本人の座右の書として、いろんな場面で顔を出す「論語」の登場人物で、「子」と呼ばれている人だということぐらいの知識でした。
 「孔子伝」を読んで、「論語」が近づいた気がします。孔子は、聖人君子として安楽に生涯をおくったのではなく、むしろ反体制活動家として理想主義をかかげ、70歳になるまで挫折を繰り返した、偉大なる敗北者・無冠の帝王だったんですね。
 「論語」で語られる言葉は、よく言えば魂の言葉、悪く言えば愚痴や負け惜しみ。読むのに気が楽になりました。そして、決して上からのお説教じゃないってわかりました。
 いろんな方が影響を受けてらっしゃるというのも納得します。今度僕も「論語」が自分の血肉になるまで読み込んでみたいと想うようになりました。