孤児施設出身ということを全面に売り出され、「捨て子」、「薄幸」を連想させる歌を歌わされたある意味ジャニーズ史上異色のアイドル、豊川誕。しかし、「汚れなき悪戯」での歌唱力と艶っぽい声、「メンソールシガレット」での表現力は魅せられるものがある。だからこそ「白い面影」のあまりにあんまりな不幸オーラ漂う歌詞にげっそりするし、ジャニーさんどうにかならなかったの?と言いたくなる。迷走時のジャニーズ事務所が生んだ唯一無二のカルトアイドルへの追憶をこめて星4つ。

豊川誕とは同世代で深夜ラジオ等で彼の曲をリアルタイムで聴き、渋い曲歌ってるなと思っていました。影を背負ったキャラでしたが、輝いていた時期はあった。２〜３年前に無銭飲食の
末に暴行で逮捕されたという記事を新聞で読みました。今は何処でどうしているのか？このベスト盤発売を期に、もう一度立て、立つんだジョー！

やっとリリースされた豊川誕ベスト。やっぱり 白い面影が最大の名曲か?それとも 愛しあうには若すぎて か?それにしても岩谷時子先生作詞の たったひとりの君は だけ覚えてない。歌詞が かなり意味深だけど そんな事も吹き飛ばす 名曲揃いに 生きるってすばらしい と実感・・・・・・・してます。

本当の本名も出生地も生年月日もわからないまま施設で育ったひとりの少年が、アイドル歌手としてデビューした。そこまではいい。問題は、その事実が最大限“売り”として活用されたことにあった。実の両親がどうのこうのというネタで芸能マスコミに何度も何度も登場させられ、『オールスター家族対抗歌合戦』には施設の先生たちと出演し、涙を誘うという演出。なんとヘビーなアイドル人生だろうか。楽曲の面でも、ほとんどムード歌謡のような暗い歌を歌わされ続けた。なにしろ「アイドルがデビュー曲で失恋の歌を歌うと、大成しない」というジンクスがあったにもかかわらず、歌い出しからいきなり“やさしく体を離して／「ごめんなさいね」といった”と、これでは失恋どころか“経験済み”である（うらやましい）。以降も“生きるのはつらいけど、がんばって耐えるんだ”と歌う「生きるってすばらしい」など、さすがの川嶋あいでもそこまではやらないだろうという世界が、楽曲と芸能活動の両面にわたって展開されていた。
ここにはそんな、ある意味カルトなアイドルとしての日々から彼が逃げ出すまでにリリースされたシングル曲すべて、「汚れなき悪戯」から「白い面影」までが、カップリング曲と共に発売順に収められている（非売品シングル「愛のトリコロール／いちご畑」の未収録は残念。なお寺山修司作詞の「ぼくの消息」のみ、カップリングはJJSの「元気ですか」で、これはJJSのベストに収録）。それに加えて75年のファーストアルバムから、ソニーの先輩アーティストたちのカバー４曲と、77年のアルバム『あの日 あの頃 君は……』に入っていた新録シングル・メドレーを収録。こうして聴いてみると、意外に明るい曲もあったりして面白い。「ほどけた靴ひも」と「メンソール・シガレット」はどちらも名曲。ところでジョーよ、鼻毛がちょろっと出ているぞ……（ブックレット表４を参照）。