懐が深い学者を知るための入門書として好適
★★★★☆
荒俣氏と平田篤胤の血筋である米田氏との対談集である。
個人的には対談集というのは軽い感じがして、突っ込み不足な場合が多いので、本で読む気にはなかなかなれなかった。
しかし本書では平田篤胤という、やたらに懐が深い学者の全容を垣間見るのに、識者と関係者の対談こそが有効であることを教えてくれた。興味の入り口で読む作品としては非常に有用だと思う。
米田氏、つまり平田篤胤の解釈には独特なものがある。特に「本来は権力と無縁で、日本文化の頂点に自然発生した天の摂理の具現者である」とする天皇観については改めて考えさせられた。さらに「日本における革命は錦の御旗を立てる側、すなわち天皇の側で行われる」という指摘にはびっくり。たしかにその通りだ。