著者の感性をも含めた思想を味わうには『バビロンの流れのほとりにて』などを読まねばならないが、その全体像を概観するには、叙述が平易なこともあって、この本が最適である。真の感性の豊かさがいかに深い思索によって支えられるものであるのか。単に神経質であることは違うのだということを自覚するためにも、これからの若い人々にもぜひ読んでほしい一冊である。