推理と恋愛小説の融合
★★★★☆
桂木麻子は、夫の主張中に幼馴染で公衆衛生学科助教授との密会の帰途に、崖から落ちそうになっている少年を発見するが、不倫の発覚を恐れ救助を躊躇するが、突如現れた中年の男が、子供を助ける。
同日の朝、金融業者の殺人事件が発覚し、後日少年の命が狙われる。子供を助けた中年が犯人なのか?麻子は思いついた手段とは。
夫の勤める工場が公害問題の矢面に立たされ、工場周辺の地下水の分析を依頼されたのが、不倫相手の大学という皮肉も加わって事件は混迷を極めます。
恋愛(不倫ですが)と殺人事件との比重がバランス良く配合されていて、読み易い一冊だと思います。
気になる子供たち
★★★★☆
恭太の健気さ、それとなぜか、文子の行く末が案じられた。。。
悲しいが、浮気、強欲、エゴイズムの結末。。。
サスペンス+不倫純愛=イライラ
★★★☆☆
昨年度2001年放送されたサスペンスドラマの原作小説、夏樹静子氏の小説を読むのは初めてですが推理サスペンスに男女の切ない不倫愛が絡むとこうもやきもきしまくりの展開になるのかと本当にちょっとしたきっかけですぐにも解決しそうな事件であるのにもかかわらず中々そのちょっとしたきっかけに発展せず随分焦燥に駆られました。少年と不倫愛を貫く人妻の両方の視点から描かれる事件、松本清張氏のごとく一方の視点から事件が推察されていったと思ったら意外な展開で事件をめぐる視点が入れ替わる逆転の展開こそなく、実は推察される内部から事件の真相が暴かれる意外性もなく、そんなことを予期してしまったのは見事に裏切られましたが、それを考えすぎか、素直に読むべきかは読む人の判断にゆだねられると思います。でも目撃者の少年を窮地のところから救い上げた真犯人が打って変わって凶悪な一面を除かせるのは、その後の少年の純粋な視点からから見たら一体犯人はどういう人畜非道のあくどい奴と思わせますが、それにはもっともなからくりが存在し、目撃者の少年の見た真犯人の真の姿は少年の純粋な目論見どおり、立派な優しい姿をしていたのは小説の優しい視点が垣間見えるような気がしてよかったです。