「本当の学力とは何か？」「学力は今、どうなっているのか？」などなど、教育界ではこうしたテーマの下で広く議論が行なわれてきた。
しかし、議論の中で忘れられてはいけない重要なものがあった。それは「子どもの視点」である。そもそも、子どもが学びに対してどのような考えを抱き、どう学んでいるのかを把握しない限り、学力論争は不毛のままである。
学校という特殊な環境に身を置かれ、１日中、学業に従事させられる子ども。大人が決めたルールの下で価値づけられる子ども。実際、学校は子どもにとっては「狭すぎる」空間である。故に、教師をはじめ、学校自体が教育観を振り返り、改めていく必要がある。
本書で述べられている「意欲」。これは、子どもの意欲をどう扱い、どう伸ばすか、という根源的に重要な問いに迫ったものである。なのに、現場で実践されていないから、不毛な議論が繰り返される。現在の学校教育に違和感を持つ人ならば、ぜひ読んでいただきたい。