各キャラクターの性格付けが弱くそれぞれの影が薄い。きちんとキャラクターが
立っているのは主人公の上司と母親だけで、それも「おっさん風キャリアウーマ
ン」「元気な熟女」くらいの味付けで、もひとつ弱い。主人公の夫にいたっては、
主要キャラであるにもかかわらず「ああ、こんな人いたね」程度の存在感。
まだ1巻目で試行錯誤の段階であることを差し引いても、さびしい印象。
「かしましハウス」のように、各キャラごとに明確な特徴があって、それを生かした
ネタでころがす、という展開ができていないため、実質的に「子持ちOL生活」だけ
の漫画になっている。「妹がフリーアルバイターでいろいろな特技がある」「夫は
研究者である」といったそれぞれの設定を生かしたネタを展開しようという試みも
あるが、いずれも印象が薄く成功していない。
新シリーズではあるがネタ的には特に新しい試みはない。主人公の設定(既婚・
子持ちの30代OL)だけが秋月りすの過去作品に無い設定で、これは、この年代
の読者開拓を狙った・または掲載紙の読者層がそのあたりに移行した故の措置
だろうか? しかし、せっかくの新シリーズだが、登場キャラクターと内容の薄味
化を招いたようにしか見えない。
不満点ばかり書きましたが、買って後悔はしないと思います。つまらなくはないし、
新人作家の初作がこれなら☆5個あげてもいいくらい。ただ、秋月りすにはもっと
上を望みたい。彼女の他の代表作と比べると出来が落ちる。
それと、「おうちがいちばん」という題名は、あまり良くないですね。語感も、過剰に
保守的かつファンシーな印象も、全ひらがな表記というもの今時どうか。