インドシナの歴史の大きなうねりを読む
★★★★★
60〜70年代前半までの激動期のラオスにおけるドキュメンタリータッチの
小説です。話の中心は数奇なめぐり合わせにより、定住する土地を求めて移動を
続ける中国系山岳民族のモン族を軸に展開されます。
左派右派とも同族同士での激しい戦闘が行われる中、友情、家族の絆をも
打ち砕かれながら右派のモン族は落ち延びていきます。最後に主人公の青年
将校が見せる苦渋の選択も戦時とは言え、モン族の業を思い出させ、深い
感動を呼びます。
小説としても、また東南アジアに興味が沸いてきた方へ、更なる歴史的背景を
知るためにも、お薦めの書だと言えると思います。