編集方針に疑問
★★☆☆☆
複数の執筆者の原稿を集めている。その内容は多彩というかバラバラ。図版解説なのか、作家論なのか、資料集なのか、何を本書で訴えようとしたのか、どういう方針で各人に原稿を依頼したのか、焦点が定まらない。編者(本業は古美術商と明記されている)は「あとがき」で、自分は素人で一介の愛好家にすぎない、素人の不勉強と非力ゆえの遺漏や誤謬や曲解は決して免れないと書いている。学問的な水準にバラツキがあると自認しているわけで、新しい研究成果をたくさん盛り込んだといわれても、素人の仕事ゆえと言い訳が付いているから信憑性に疑問が残る。こういう書き方をされると読者としては困惑する。