人生ゲームのような経済論 「子供はペットに取って代わられた」
★★★★★
最近の経済学者としては最新理論と現実感覚のバランスの取れたまっとうな経済論だが、
現実認識としてはトホホなところも多い。ブログと出版物とは違うことをもっと認識すべき。
以下の個所などは帰りの電車の中で吹き出してしまった。
「出来が悪いといって、自分の子どもを他人の優秀な子どもと、お金で取り替えていけば
どうなるでしょうか。・・・人々がそれぞれ自分の子供を天命と思って、大事に育てるから
こそ、社会全体のレベルが上昇するのではないでしょうか。自分の庭先から問題を放逐する
ようなやり方は「ババ抜き競争」というべきものでしょう」
「経済学的には・・・子供がかわいいという消費財的側面・・・の役割はペットに取って
代わられました」
「地方分権は・・・いわば病巣を各地に転移させるようなもの」
とはいえ、最新理論で「失われた10年」「格差社会」「デフレ論」などの通説・俗説を
切っていく切れ味は鋭く、現在他書で本書に並ぶものはない。したがって、5つ星の評価を
損なうものではない。