勝負の世界においては、情報収集が昔から重要視されていた。それは、孫子の兵法にあるように、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず。敵を知らず、己を知れば、一勝一敗す。敵を知らず、己を知らざれば、戦うごとすなわち危うし」ということである。これは一般ビジネスや副題にある「相場とギャンブルで勝つ方法」にも通じる言葉である。
どの勝負においても、経験を重ね、情報を見つけ、理解し、自分たちが優位に立つように利用する能力を身につけた上で戦うこと、相手に対する小さな優位性の積み重ねを通じて自らのスキルを磨いていくことが重要だ。
本書には原題にあるセックス(性)や死(ダイイング)の話はどこにもない。デートサービスビジネス(性風俗産業)、火葬サービス信託会社(死と臨終)、スポーツ賭博とポーカー(ギャンブル)という3つの異色の職業変遷を通じ、試行錯誤の末、著者が獲得してきたノウハウ(人間の心理と性格・特徴別の戦術)について紹介している本である。具体的には、精神医学の分野でなされた性質全体を形づくる特徴について13のタイプ(冒険家、攻撃的、共依存的、変人、感情的、自己中心的、一匹狼、マゾヒスト、内省的、劇場型、うだつの上がらない、警戒的、勤労者)ごとに、ポジティブな面、ネガティブな面、見分け方やつきあい方、買い手としてのタイプ別攻略法を紹介している。本書がねらいとしている投資家はもちろん、人間関係を学ぶ上でも役立つ本である。(増渕正明)
参考書ですね
★★☆☆☆
ざっと目を通しましたが、トレードにおいては参考にはなりますがそれ以上にはなりません。投資心理について直接的に書かれた、投資苑等の本を読んだ方が参考になると思います。
ただ、面白い本ではありました。
ポーカーでもトレーディングでも素手では勝てない
★★★★☆
オプショントレーダーのカプランが薦めるポーカーの勝つ方法の本
良いギャンブラーとは,場の分析を基に自分の戦略を決定するのと
同じく,良いトレーダーは市場の分析を基に自分の戦略を決定する.
ポーカーで自分の良い手だけを信じて勝負しても儲けられないのと
同様に,市場で自分のトレーディング方法の優位性だけを信じて
取引をしても儲からないのと同じと述べている.
ギャンブルも相場もゼロサムゲームでその中で勝つための方策を
見つけてくれるひとつの本だと思う.
私はこの本を読んで,市場分析を行わない選択、つまり敗者の選択を
行うことを決意しました.その意味でも良い本だと思います.
DSM−4
★★★★☆
DSM−4とは、アメリカ精神医学アカデミーの設定した診断基準である。
本書の分類は、DSM−4に有る人格障害の類型を粗、踏襲している。
人格障害自体は、必ずしも「医学的な問題」ではなく、半分は本人の問題だが
もう半分は「社会の側の問題」、詰まり「其の時代、其の文化圏」だから、
或いは「其のコミュニティ・共同体に所属している」から、
そう言うタイプの人間とコンフリクトが発生する、と言う事。
また、殆んど全ての人間は、これ等の人格障害のどれか、或いは
二つか三つの混合タイプに分類されて仕舞うので、「人格障害ではない人間」は
医者も含めて、存在しないとも言える。医者の「本音」は「人格障害は治らないし
治せない。また、特に治す必要も無い。」と言った所だが、境界型だけは
例外的に扱わざるを得ず、現代精神医学の「捻れ構造」と為っている。
さて、トレーディングに絡めてレヴューするが、「人格障害が治らない」のだとしたら
其のタイプのトレーダーにとっては、自分の「強み」と「弱み」が「一生もの」であり、
「自己認識」の為には、極めて有用と言う事に為る。
その意味では「決定論」的だが、生物学派の考え方だと、昔風に言う所の
「性格異常」と大して違いはなく、一寸した切っ掛けで、
特に「社会的環境・人間関係上の変化」で治ってしまうので、
余り、当てにならない「決定論」の様でもある。
マーケット環境が変化した時、トレーダーの方は、人によっては変化もするし、
変化を拒む者も居る。メカニカル・システム・トレーダー為らば
システムの再構築に成功する者も居れば、そうでない者も居る。
また、マーケットの外での、トレーダー自身の生活環境の変化が
トレーディングに及ぼす影響も、必ずしも看過できるほど小さくは無いだろう。
この程度の事は、単なる「習い性」レヴェルに過ぎないと言う気もするが
「人格障害」と言う、余りに御大層な精神医学的概念で、括られて仕舞っては、
トレーディングやポーカーやギャンブルで、「人生を棒に振りそう」な位の
大事の様な印象を与えるだけなのだが。
私が本書を読んだのは、2001年の夏頃。トレーディングの本として
買ったが、趣味で勉強している精神医学関連書として、
其れなりに楽しめたので、星4つとした。
尚、参考文献としては、他のレヴューでも挙げたが
中井久夫著『徴候・記憶・外傷』を参照の事。
もう一つ補足。以前、レヴューを書いたマコビーによる『ナルシシスト人格者』の
本と比べて、人格の分類の方法が全然違うと思った向きも
有るかも知れないが、社会心理学的なネオ・フロイディアンの伝統的な考え方と
精神医学的診断基準として、余りにもアメリカンではあるものの、
グローバル・スタンダードに為りつつあるDSM−4の考え方では
全く、別である。
利益の多寡は、読者次第
★★★★☆
【営業】とか【相対の取引】とかについては特に『使えるッッ』と思った。
●13の性格分類
●各性格のポジティブ・ネガティブ面
●各性格相手に勝負するには、営業するには・・・
知っておけば、”かなり”ためになる!!でもそれは「あなたがこの本をどのように使うか?」による(当たり前ね!!)
見えない相手、不特定多数の相手に対するトレードには使いづらいと正直思ったが、それも読後の私次第かな・・・?
Poker, Sex & Dying
★★☆☆☆
タイトルに相違して、内実はポーカーの経験をふまえたポーカーもしくは営業マン向けの本。トレードの話
はカプランによる序文以外は一切なし。そもそも原題は「Poker, Sex & Dying」だったのをタイトルを変え
て出版したらしいが、なぜタイトルを変える必要があったのやら。トレーディングがギャンブルと類似点・共通
点があるというのは確かに「マーケットの魔術師」などでも述べられていることなのだが、だからといってこのタ
イトルはないだろうと言いたい。
ポーカーや営業マンだと、ここに書かれている性格分析・キャラクター類型は相手に関することになるが、ト
レーディングの場合だと勝負相手は見えないので、あくまで自分についてのこと、自分の分析を行うための
ものとなるだろう。
自分を分析することはトレーディングにおいて重要なこととはいえ、トレーディングそのものと直接関係がない
本をこういう出し方をしてしまっているので星2つ。正直なところ性格分析やセールスの本として発売されて
いれば星4つぐらいなのだけど。