お坊さんエッセイの傑作
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いい本。最近は若手の僧侶による身辺雑記や「これからの仏教」論が増えているが、そうしたジャンルの本のなかでも出色の出来だと思う。ほほえましくも切ない日常に関する記述とガチ宗教or人生論が適度にミックスされた文章が巧みでデビュー作ながらエッセイストとしての才を強く感じさせ、また随所に引用されている釈尊&空海の名言とそれをめぐる著者の思索が、先人たちによるグレートな言葉の「わからなさ」も含めてじっくりと語られており、共感とともに学ぶところが少なくない。いまここの現実と対話しながら、伝統のなかで見事に精錬されてきた仏教に真摯に向き合っているお坊さんのもの言いには、評者のように宗教一般に関心のある向きのみならず、多くの現代人が感じ入るところ大なのではあるまいか。
こんな坊さんと友達になってみたい。
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僕は個人的に仲良くしている坊さんはとくにいない。
だから、この著者、ミッセイさんが、ごく普通のお坊さんの
一人なのか、それとも、ずいぶん個性的なお坊さんなのか、
よくわからない。
でも、こんなお坊さんが身近にいたらいいな、と思う
本当に素敵なお坊さんだ。
だれもが、この本を読むと、お坊さんという存在を身近に
感じると思う。僕たちが社会人になって、はじめてお客さんの
ところにいくとき、初めて大きなプレゼンをするとき、
あるいは、自分の人生ってなんだろう、仕事ってなんだろう、
と思うのと同じように、
お坊さんも初めてのお葬式では緊張したり、仏教とはなにかを
考えたり、いっしょうけんめい、戒名を考えたりしている。
お坊さんだけの野球チームの話(ナム・スターズ―南無の星―)や、
お坊さん用の通販で、超高性能バリカンを買って、失敗した話、
いろいろ、笑える話も多い。
それでいて、弘法大師の言葉や、仏典(「スッタニパータ」
「ダンマパダ」「ウダーナヴァルガ」)の言葉も紹介され、
仏教の世界観、考え方を垣間見ることもできる。
この人にはどんな戒名がいいんだろうかと真剣に悩んだり、
お葬式で、「供養を本気で祈ってくれる」こんなお坊さんに、
ぜひ、僕もお願いしたいと思う。
生きている毎日の楽しさに気がつく
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まず、日本の仏教は「葬式仏教」といわれていますが、その葬式に、お坊さんはどんな思いをもってのぞまれているのかを知ることができます。
生きること、死ぬことを深く見つめることから生まれる「今」の楽しさと躍動感が伝わります。
仏教と、お坊さんとの、意外な親しみ方がわかります。どちらも身近にあると、楽しいかも!