ATL+COMでプログラミングをするため「だけ」なら他に直接実装方法を解説した本もあると思うが、ATL+COMでのプログラムがどのような仕組みで動いているかに関して詳細にサンプルプログラムを元に解説してあるので、VC++を使ってプログラミングしているとするりと通過してしまうようなポイントである「ATLというテンプレートライブラリがいかに実装を楽にしてくれるか」が判る本である。
ただ、その分はじめから難解な解説のオンパレードなので、相当VC++を使った開発経験がないと、とっつきにくいと思う。
また、現在ではCOMの開発にMFCが使用できるが、この本では基本的にMFCは使わない(一部のCOM用のクラスを除く)ので、Win32APIの知識も必要となる。
しかし、この厚さで、この内容の濃さにもかかわらず、この本のみでATL+COMの全ての解説が載っているわけではない(概略をさらりと説明しただけで省略されているものもある)ので、この本を活用できるレベルの人には、他にも読むべき本が出てくると思われる。