城をめぐる物語
★★★★★
城というのは武家社会のみならず、日本文化、日本史の象徴と言ってもよい。豪華絢爛にして優雅、「雅」と「武」とを兼ね備えた結晶といってもよい。本書は数々の名城について、建築
構造というよりもそれにまつわる人々のドラマについてのものである。
それぞれの城に展開する武将たちの泣き笑い、意地と誇り、そして野望と蹉跌に彩られている。単なる戦争のための道具ではない、「情」の塊が城なのであることをよく示してくれる。
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★★★★☆
こちらの作品は「天守閣がすごい」とか「石垣の角度のおかげで鉄壁だ」など、
城そのものの構造を愛でるものというより、
その城を治めた歴代城主やその家臣に関する話・史話の方に重きを置き、城を舞台に時代を追ってまとめたものです。
具体的に、会津若松城篇では、源平時代に佐原義連という人物が奥州平泉の藤原氏を滅ぼした功により会津四郡をもらい、
それをもらいうけた子供らがそれぞれ猪苗代氏や芦名氏の祖になったこと、
戦国期の芦名家のお家のごたごたと伊達政宗の関係、
その後に入った蒲生氏郷、加藤嘉明、そして将軍家の一門に列する人物と判明した保科正之が松平姓を授かって、
それにより幕末の会津松平家の一貫した佐幕に繋がるということ、最後は白虎隊に関する事といった風に、
各エピソードを交えて、戦国前後から明治初期ぐらいまでのそれぞれの城を舞台にした縦の流れが書かれています。
戦国時代だけ、幕末だけ、というように本を読んでいた私にとっては
合間合間のちょっとした歴史の流れを知る事が出来て愉しめる作品でした。
城郭ファンにとってはたまらない書
★★★★☆
その名の通り、熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭を取り上げた城にまつわる秘話集である。歴史好きでも知らない話題が多く、特に「城郭ファン」には読み応え十分なマニア本となっており、城への興味が尽きせぬこととなろう。