生と死の実相を究めて説く
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空海の言葉は、私たちの外に求めるものではなく、私たち自身の心中に求める。真理はその中にある。お説教ではなく、語りかけてくる「さとりのこころ」そのままである。
さとるためにはさとる決断を「迷悟我にあれば、発心すればすなわち到る。明暗他にあらざれば、すなわち信修すればたちまち証す」と説く。
空海のキーワードを駆使しながら、私たちのこころに響く言葉を数多く紹介してくれている。
「生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く 死に死に死に死んで死の終りに冥(くら)し」
「それ生はわが好むにあらず。死もまた人の憎むにあらず」
六道輪廻の思想に立ち、迷いの世界を転生する生と死の実相を述べて尽きないものがある。