本書は名誉毀損の内容ではなく、表現の自由とメディア論の本で、阪大レベルです
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本書の内容は名誉毀損ではなく、表現の自由とメディア論の筆者の意見にすぎず、判例は引用していますが司法を学んだり、名誉毀損されたほうが読むのではなく、新聞記者や雑誌編集者が自己弁護の為に読む阪大レベルの本だと思います。なぜなら、最後の結論が、「報道を活性化させなければいけない」となっているからです。名誉毀損を正確に知り学びたいたい人は別の本がお勧めです。
筆者の云う公人とは取材される側全部といいたいのでしょうから、公人に対しては悪意がなければ名誉毀損にならないという筆者の理論は、理論的に誤りで地裁以下のレベルでしょう。
情報化社会の宿根を取り上げる
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素朴な問い「真実の報道も名誉毀損に?」即答できれば 裁判は簡単だ。事ほど左様にいかないから、ものごとはややこしい。個々の事例をつぶさに仕分けしていかなければならない。
現職の総理が小出版社を訴えた(森喜朗首相対雑誌『噂の真相』事件)
意見が名誉を毀損したら(長崎教師批判ビラ事件)
ネット上の中傷をどうするか(動物病院対2ちゃんねる事件)
事実を真実と信じたことに「相当の理由」があればよい(「書名狂やら殺人前科」事件)
刑事事件でも「相当性」の基準が使われる(『夕刊和歌山時事』事件)
事前差止めはどんなときに認められるか(『北方ジャーナル』事件)
損害賠償が高額化する(女優X氏対『女性自身』事件)
これらの事件は、多かれ少なかれマスコミで取り沙汰されたので、一般の人にも知られている。要するに、「表現の自由の保障」と「名誉の保護」と、どちらも大切なことだけに、そのせめぎあいが第三者には興味深いことなのである。ここでもやはり、事実・真実・情報による齟齬が焦点化される。一筋縄ではいかないものを、知りたがる「知る権利」が割り込んできて、事態を錯綜・加熱化させる。本書は新書版という制約の中で、問題点を簡略にまとめようとする努力は買う。ただし、各事件とも、こんなところで闡明化できるようなものではない。
近代情報化社会のかかえる病根のようなもので、大なり小なり「宿根」なのである。
表現の自由と個人の名誉―その相克と現状
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本書は、読売新聞の記者であり
阪大大学院で松井茂記さんらから指導を受けた著者が
名誉毀損にまつわる問題を概観する著作です。
著者は、まず最判昭41・6・23、最判平1・12・21
など主に民事の判例や地裁判決を参照し
『相当性』の判断、『公正な評論』など
名誉毀損に関する判例理論とその発展を概観。
そのうえで
賠償額の高額化、名誉毀損が認められる例が多いことを指摘し
表現の自由の保護をいっそう手厚いものにするため、
『公人』に限定した「現実的悪意」法理の導入を主張します。
本書の大きな特徴は、
新聞記者であり、同時に研究者である著者らしく
判決文とそこに内在する理論を精緻に読み込むだけでなく、
判例集等では無味乾燥に記される事件の背景や訴訟の経緯も
丁寧に紹介されている点です。
とりわけ、夕刊和歌山事件や
森元首相とうわさの真相の裁判の経緯などは
そこに至るまでの流れから事件後のできごとを、実名を挙げて記し
また、近年の賠償額の高額化についても
新聞記者らしい推察を加えており、とても興味深かったです。
名誉毀損という例を通じて
日本の法理論、司法システムの問題点までも探る本書。
「現実的悪意」法理の導入の是非については
見解が分かれるでしょうが、
そうした見解の相違にかかわらず、
多くの方に読んでいただきたい著作です。
公人には、現在の刑法第230条の2の要件ではなく、「現実的悪意の法理」を用いるべし
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1.内容
抽象的な内容は、名誉毀損という概念の説明、具体的なケースの検討、これからのあるべき名誉毀損裁判、ということになろうが、この本が強く主張している内容は、現在の名誉毀損裁判においては、公人(政治家など)についての表現の自由に対して厳しいので、そのような人物に対する表現行為については、現在の名誉毀損(罪)における免責3要件(刑法第230条の2)ではなく、日本版の「現実的悪意の法理」(挙証責任を原告に転換し、原告が、被告(表現者)の虚偽等を立証すべきであるとする法理。私の要約。詳しくは本書をお読みください)。を取り入れるべきだ、ということになろう。
2.評価
難しい問題だが、直感的には、私も著者の主張に賛成したい。公人の動向を知ることは、とりわけ政治を考えるうえで重要だと思うからである。また、有名な事例、最近の事例に基づいて構成されているところもよい。以前読んだ『名誉毀損裁判』(浜辺陽一郎著 平凡社新書)に比べて、(学者らしく?)表現者と名誉権を侵害された者の利益を、バランスよく図っているところがよい(とりわけ、一般人と、公人を分けているところ)。以上3点により、星5つ。とりあえず、名誉毀損について、コンパクトに知りたい方には、現時点ではこの本を薦める。