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永遠の旅行者〈下〉 (幻冬舎文庫)

価格: ¥630
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
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予想以上の面白さ ★★★★★
著者に関しては「節税関係の本を書いている」程度の認識しかなかったのですが、本書では「永遠の旅行者」という個人的に興味のあるキーワードが盛り込まれてあったので軽い気持ちで手に取りました。

主人公は元弁護士。
現在は海外の拠点を転々としながら節税のノウハウをコンサルタントしています。
ある時その主人公が、「相続税を一線も払わずに相続する方法を教えて欲しい」という依頼を受ける所から始まります。
そこから様々な登場人物を巻き込んで展開するミステリーです。

本書の中では様々な法律、節税のノウハウなどが登場しますがとてもわかりやすく、読み手のテンポを乱すようなノイズにはならずにスムーズに読ませます。
上下巻ともにかなりの分量なのですが、文章がこなれているせいか読了まであっという間でした。
またミステリーとしても見事で、最後にちりばめられた伏線が収束していき、意外な人物が犯人としてうかびあがっていく様にはページを繰るのももどかしく、手に汗握りながら読みました。

そして本書のサブテーマとして、孤独、無頼、国家や集団に対するシニカルな視点、カネに溺れて破滅していく強欲な人間の姿などがあります。
普通なら殺伐となってしまうような重いテーマなのですが、根底に流れる著者の眼差しは温かく、読後感も非常に良かったです。
これには本書に頻繁に登場する「天使」という概念も大きいのでしょう。
天使というのはある種の象徴、「罪と罰」などでもみられる「聖少女」のイメージとして使われていましたが、その透明感や自己犠牲的な生きざまには、思わず胸打たれるような存在感を感じました。

とにかく著者の博覧強記ぶり、読ませる文章、個人的な興味と一致している点など、色々な点でうれしい誤算でした。
特に最後の文章がふるっています。

「眞鍋君、素晴らしい仕事をしたわ」
「なぜ」
「だって、天使を救ったんだもの」
「それは違うよ
 天使に救われたのは、僕なんだよ」

しばらくはこの著者の本を読んでみたいと思います。
国家という暴力とリバタリアニズム ★★★★☆
私はこれまでのレビューと異なり国家の暴力性を一番に感じた。
シベリア帰りの老医師がいった国家は我々に何をしてくれてたのかという問いかけにはリバタリアニズムに通じるものがあり、橘氏の基本姿勢の一端が垣間見れる。
読み物としてのストーリー性やエンターテェーメント性も備えて一気に読める
金融テクニックを超えた物語の面白さ ★★★★★
上巻に引き続き著者の構成力のすばらしさに脱帽してしまう。エンタテインメントとして完成度が高いだけでなく、純文学的な思索が深く感じられる。一人の老人に歴史とからませて人生を語らせる事によって、小説は物語として一般化される。

4年ぶりの小説だが、これほどまでに成長するものだろうか。前作は金融関連のテクニックがメインのエンタテインメントで、物語はそれを薄く色づけるものでしかなかった。しかし、今回は物語の部分が非常に厚く繊細に作り上げられていて、金融関連のテクニックはそれを彩る副菜になっている。著者の力量が小手先のテクニックを必要としなくなったのだと思う。
次回作に期待したい。 ★★★☆☆
上巻以上に金融に関する記述が少なかった。というより、ほとんどなかった。

読み物としてまあまあ面白かったと思うが、橘氏に期待されるのはやはり金融に関する記述だと思うので、
そういう意味では少し残念な気がした。

次回作に期待したい。
話が唐突に展開 ★★☆☆☆
 上巻の印象は変わらない。

 ラストに向けて、物語がご都合主義で唐突に展開し、小説として楽しめない。

 小説という形式は失敗だったといわざるをえない。