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守りの名将・上杉景勝の戦歴 (新書y)

価格: ¥872
カテゴリ: 新書
ブランド: 洋泉社
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上杉景勝とは何だったのか?その3 ★★★☆☆

レビューに「上杉景勝についてよく分かった」と書いてあったので迷わず購入。

まず、良かった点
・新潟の地名、景勝が闘った場所の位置関係がよく分かる
・武人・景勝の戦歴がよく分かる

不満な点
・あくまで、「上杉景勝の戦歴」であり、景勝が最終的な判断を下したのだとしても、側近で知謀の将として知られる直江兼続や、本庄繁長や色部長真、上条宜順などの重臣の考えや戦術がどの程度反映されていたのか分からず、わたし自身は、「上杉景勝についてよく分かった」とはとても思えなかったこと。
・「守りの名将」というよりも、先代・謙信が領土を拡大しすぎた為に、御館の乱後に疲弊した景勝の戦力では、護るのが精一杯だったという気がしたこと。

まあ、不満な点を含めても非・地元民のわたしが越後を旅するのに、非常に役立ったことは確かです。特に、新発田の乱の記述は詳しくてお勧め。
景勝公をさらに深く知りたくなる一冊。 ★★★★★
上杉景勝には「上杉征伐の際、方向を変えて西に戻り始めた家康の背後をつかなかった」「なぜか最上を攻め始めた」というミステリーがあり、私がこれまで読んだ種々の小説や解説書では、直江兼続と景勝の考え方の相違がそこにあった…という解釈がなされていました。そういう書物はおおむね兼続を主として描いているものであったせいか、兼続の優秀さと景勝の判断ミス(や愚直さ)を対比させる作為のようなものを感じるものが多く、これってほんとなのかな?と感じていました。三池氏は当時の景勝の領国整備のありかたをじっくり検証してゆき、一連の景勝の行動について、従来の解釈とは別の、とても妥当な解釈を示してくれていると思います。色々と腑に落ちる点がたくさんありました。それだけでも満足です。

むろんそれ以外の部分でも、強運に恵まれて何度も危機を脱し続けただけでなく、実は結構リアリストで図太かったんじゃない?とも思える景勝の歩みがじっくりと追いかけられていて読み応えがあります。これを読んで私はより一層、景勝公に興味を抱きました。謙信公より面白い。(笑)
一本筋の通った清々しさ ★★★★☆
謙信以来の武勇と律儀さを、戦乱の世にあって頑なまでに守り通すことで
戦国大名として生き残ることができた様子が詳らかに紹介されている。
特に秀吉に臣従してから中央政治に翻弄される様子や、
上杉討伐から関ヶ原までの徳川や最上・伊達など近隣大名との緊迫した駆け引きも面白い。
律儀な家風を信頼して秀忠や本多正信が目をかけ、
大阪の役でその期待に見事に応えるさまも権謀術数うずまく戦国時代であったからこその
一本筋の通った清々しさと言える。

大河ドラマの天地人では紹介しきれなかったエピソードや政治的な背景を
この本で肉付けするような読み方をすると非常に面白いのではないだろうか。
上杉景勝を知ることの快感 ★★★★★
筆者である三池氏が、いかに上杉景勝公が好きであるかということがうかがい知れる一冊である。
上杉景勝という人物は、戦国時代の人物の中でも屈指に面白い人物である。だが、少々通好みの人物である。けして善人ではないし、なおかつわかりやすい人物ではないからだ。この本は、その玄人魂を心地よく満たしてくれる一冊である。
ネットの上では、上杉景勝に恨みのある方々がウィキペディアなどで大活躍しておられるので(笑)冷静で正確な情報が無くて困っておられる、「最近、上杉景勝が気になってきた」というそこの貴方には手放しでおすすめいたします。
膨大な資料と格闘し、上杉景勝の足跡を精査した名著 ★★★★★
 上杉景勝の生涯を書くことは、戦国の激動を生き抜いた信長、秀吉、家康の天下統一の側面を描くことにもつながる。三池氏のいうように、スケールの大きい謙信に比べ“陰”の景勝には、派手なエピソードがまったくなく、その人物風貌はつまびらかではない。正直、時流を意識し、直江兼続を主役としてた本にして、景勝は脇役にした方が売れるのではないか思った。ところが、三池氏は間逆のアプローチをしている。この正直者めが! このことからも、三池氏が景勝同様に、不器用な男であることが私には推察できる。
 本書を読んで、フィールドワークの著者の持ち味が、今一つ、いや、今二つ、三つ物足りないと感じる読者もいるかもしれない。もちろん、三池氏は本書でも『上杉家御年譜』を裏付けるべく、現地調査に出かけている。しかし、『真説・川中島合戦』や『敗者から見た関が原合戦』を読んで、目からウロコの読者にしてみれば、まったく、そうした指摘はそのとおりかもしれない。私も青年時代に知り合った、作家の新田次郎先生が川中島の古戦場に、通算40回以上も通って、フィールドワークによって、実像に少しでも肉薄しようしていたのを知っているので、そうした気持ちは十分に理解できる。
 しかしながら、物事には長所と短所の両面があるものだ。また、歴史の真実をヒモ解こうとした時に、フィールドワークだけでは解決できない部分もある。景勝の人間像を追い求めて、その城郭や古戦場を旅して、何か見えるのだろうか・・・。
 おそらく、三池氏は合戦や事変などの史実は、現場検証である程度、説明がつくだろうが、景勝の人物像に肉薄するのには、現地調査よりも資料の森を踏破するしかないと結論したのだろう。そのために三池氏は、膨大な資料と格闘したのではなかろうか? そして、景勝の多面的な人物としての陰影を、掘り起こしたのが本書ではなかろうか?
 本書の景勝像は、丹念に資料を精査し抜いた結晶である。その証拠に、三池氏の文章を読んでいると、天下の名将、上杉謙信の後継者に這い上がるまでの苦悩がヒシヒシと感じる。御館の乱、新発田氏の反乱、名門・武田家の滅亡、信長軍の容赦なき包囲網戦など・・・。本書を読んでいて、三池氏は小説家にも向いていると、私は思い膝を叩いた!
 文書を書くことにも、“攻め”と“守り”がある。攻めとはフィールドワークであり、守りは資料との格闘である。本書は守りの名将・上杉景勝を、守りの文章で描いた三池氏の名著だと、私は信じて疑わない! そして、歴史上の人物の内面に興味を強く持ち始めた三池氏に、将来、歴史小説を書くことをおすすめしたい。心の広き読者諸氏、長い目で三池氏の作品を、厳しさと同時にあたたかさを持って応援しようではないか!!