初心者向けなのに実は深い
★★★★☆
諸葛亮の史実での活躍・実績から、演義や民間伝承・伝説で見られる彼の様々な像まで解説した書。図・絵がふんだんに使われており、手軽に読める。もっとも図があまり用をなしてない箇所も多いが・・・
装丁が初心者向けの印象を与えるが、実はなかなかに示唆に富む内容。
三国時代の人間関係の力学を、当時の社会情勢の中で重要な地位を占めた「名士」により説明している。初心者にも分かりやすく、そして無理なく解説できているように感じた。三国志歴が長いとはいえどこまでも趣味の域を出ない私にとって、新たな視点を与えてくれる知識である。
三国志は活躍した「人物」たち個々に多分に思い入れを抱いているだけに、機械的にあっさりと片付けられると少々寂しいものがある。趣味の域に留まることと、研究対象とすることの違いであろう。
しかしこの書は、随所に著者の諸葛亮に対する愛が横溢しており、それを感じ取る度に喜ばしい。三国志への情熱が再生するようだ。