「生活の場」としての天理教教会レポート
★★★★★
全国に一万七千存在する天理教の教会は、どんなに大きな教会でも
教会家族の生活する「生活の場」という性格を失わず、「家族の
つながり」が失われつつある今日において、他宗教とは比べ物に
ならないほど潜在可能性を持つといえるだろう。(仏教の寺院も
「生活の場」ではあるが、あっちは天理教と違い「出家集団」で
ある)。その性質が悪い方に傾けば教会家族だけの閉鎖的な空間に
陥るが、本書の著者は現代社会における「家族の再構築」を目標
としており、里親活動で10代の未婚の母、家庭内暴力の問題児を
預かり、さらに里子に留まらず多重債務者、旅の尼僧、果ては仮釈放
された殺人犯まで共同生活しており、「潜在力」の一端がどのような
ものであるかがよくわかることだろう。教内の人間もさることながら、
教外の人間こそ是非読んでもらいたい。