なんでもないようで…
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この本は、『おふでさきを読む』というタイトルである。天理教の「原典」の一つである「おふでさき」の研究書ということであるが、漫然と見るとそうした研究書の中に埋もれてしまいそうである。しかし、この本は、ごくごく簡単に言えば、「おふでさき」の内容の解釈というよりも、その読み方を提示しているものであるが、その読み方の提示を通して、「三原典」(「おふでさき」、「みかぐらうた」、「おさしづ」)、「こふき話」、『天理教教典』、『稿本天理教教祖伝』、『稿本天理教教祖伝逸話篇』など、天理教教義に関する基本的文献の有機的な連関をきわめて平易な言葉で明示している。そうした意味で、この本は、天理教の教義?教理?を学ぶ上での道筋を示し、迷子を減らす役割を果たすのではないかと思われる。著者の広範な目配りを随所に感じさせる良書と言えるだろう。飽きの来ない文章がまた彩りを加える。