シンプルなのに破壊力がある
★★★★★
ニーチェは古くない。現代人が目を覚ますための最強のツールであるとの言葉は、小説『いたこニーチェ』を思い出した。
シンプルでわかりやすい構成だが、中身は濃い。頭を殴られたような破壊力が本書にはある。もう一度ニーチェを読み返したくなった。
とてもわかりやすかった!
★★★★★
「1時間で読める超入門シリーズ」というサブタイトルの通り、ニーチェについて初心者向けに解りやすく解説してくれています。
特にニーチェという人物はものすごく個性の強い人でかなり敵が多かった分、誤解されているところが多く世の中に誤った認識のまま解釈されていることが多々あります。その辺も本書では解りやすく著者独特のユーモアで楽しく解説されている。
個人的には「ツァラトゥストラ」とは何?ニーチェの言う「超人」の定義。永遠(永劫)の回帰。この辺りが特に感慨深かった。
更に、「ニーチェは神の権威、あるいは超越的な価値に従っている人間を軽視し、自らの高貴な感情と意思により行動する人間を『超人』と呼びました。」この一説は心に焼き付いた。
これを機にニーチェという人にもっと感染してみようと思う。
同じ著者の『ニーチェ・愛の言葉』より100倍優れている
★★★★☆
この本は、同じ著者の『ニーチェ・愛の言葉』より100倍優れている。
ニーチェはたくさんの箴言(アフォリズム)を残しているが、
その箴言だけを抜き出すと、誤解が生じる危険性が大きいと思うからである。
その点、同じ著者が同じ時期に出した『ニーチェ・愛の言葉』 は、箴言集で
しかも語りおろし。解説がないのでニーチェが誤解されてしまうのである。
『超訳・ニーチェの言葉』で突然始まったニーチェブームに乗り遅れまいと二冊も
同時期に出そうとしたのは賢明な策ではなかったようだ。
こちらの『はじめてのニーチェ』くらい簡単でも解説を入れないと、ニーチェは誤解を生むのです。
本作はその点、初学者向けによくまとまっていると素人の僕は思いました。
「しかしこれでもまだわからない」(僕もそうですが)人は繰り返し読む必要があります。
本の惹句のとおり1時間で読めますが、おそらく1時間で読んだのでは何もわからないからです。
それで疑問がわきあがり、ニーチェへの関心が高まった人には、
こういう順番で本を読んでみたらという僕なりの提案があります。
著者も巻末に同じ趣向のアドバイスを付けていますが、僕のはちょっと違います。
1 『はじめてのニーチェ』(本書 摘菜収)
2 『ニーチェ・すべてを思い切るために』(貫成人 摘菜氏の著書とは若干解釈が違います)
3 『善人ほど悪い奴はいない ニーチェの人間学』(中島義道 摘菜氏の著書とはヒトラーとニーチェの関係について意見が異なります。僕は中島さんに賛成です)
4 『これからの「正義」の話をしよう』(マイケル・サンデル ニーチェの本ではありませんが、なぜ哲学が正義を議題にするのか、そして、ニーチェが厳しく批判したカントのことが分かります)
5 『いたこニーチェ』(摘菜収 小説ですが小説嫌いの人でも読めます。おもしろい)
6 このあたりにきたら、もう、ニーチェの著作そのものを読むのがよいと思いますが、はっきりいって難しいです。ものすごく読むのに時間がかかります。考えながら読むと頭がボーっとします。
大抵の人が途中で諦めます。だから、5番目でやめても人には「二ーチェは読んだよ」と言っても決してバレません。
現世における快楽主義を追求したニーチェ
★★★★☆
あまりこういう「超入門」的な本は普段読まないのだが、新聞でチラッと見かけて何気なく買ってしまった。で、実際のところ1時間程度で読めてしまった。
ニーチェの哲学の基本は、アンチ・キリスト教。キリスト教から派生した民主主義や社会主義、デカルトやカントに代表される近代合理主義哲学を徹底的に否定すること。そしてその真髄は現世における快楽主義。だから現世利益という概念のある仏教と親和性がいいのは頷ける。
無神論者の私としては、これから「尊敬する人物」にニーチェを加えたいとすら思わせる1冊だった。