緑の世界
★★★★★
夏目義一さんの絵本図鑑.
生態画が描かれ,海棲生物が大好きな大人も,たのしめる.
特に魚は,様々な角度から描かれており,
流石は魚絵師・・・と誰もを唸らせる色っぽさが,有る.
干潟から砂浜,岩礁まで様々な海辺が,
干潮・満潮時で比較できるようになっている.
わたしがお勧めするのは,中ほどにある緑の世界,アマモ場だろう.
これを描くのに,どれ程の時間を取材に費やされたことか,
と思うと気が遠くなる.
この様に美しく,アマモ場に棲息する生きものたちを,鮮やかに
描き出したのは,彼が初めてなのではなかろうか.
アマモは無論のこと,
緑鮮やかなウミナメクジ,
昆虫のナナフシの様なオオワレカラ,
可愛らしいヒメイカ,
ひょうきん顔のアミメカワハギ・・・.
この絵本を知った当時,
アルバイトをしていた海洋研究所で,
藻場生態系を研究されておられたAさんに,
「これをAさんがお買いにならなくて,どなたが買うのです」
とかなんとか云ってお見せして,
おつかいへ行ったことを,懐かしく思い出す.
これが1470円・・・製作の手間暇を考えると,
安価であること甚だしい.