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火群(ほむら)のごとく

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 文藝春秋
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くっきりとした青春小説の醍醐味 ★★★★★
 時代劇仕立ての青春小説である。武家社会の中で身分や家柄の差がありながらも、友情を育み剣術を通して成長していく少年たちの姿を描いている。元服を目前にした少年たちは、もはや少年期の終わりにいる。元服すればそれぞれに家を背負って生きていかねばならない。成長を願い待ち望みながらも、一方では過ぎ行こうとしている少年期を惜しむような思いも抱いている。
 主人公の林弥は突然兄を失うが、その死はまるで闇に葬られたかのようである。林弥は、兄の剣の教えを受けた家老の息子の透馬とともにその死の真相を探ろうとするが、それが小説の主筋ではないだろう。その事件を通して、大人の世界や彼らの生きる武士社会の現実を垣間見ることで、一気に大人にならざるを得ないように描かれていく。
 
 思春期の揺れ動く心の葛藤が丁寧に、時に息苦しいまでに描かれ、ぐいぐいと読み手を引っ張っていく。読むのが惜しいような、早く結末が知りたいような、小説を読む醍醐味を十分に味わうことができた。
 
 あさのあつこの代表作『バッテリー』の時代小説版とも言えるかもしれないが、『バッテリー』はやはり児童文学の範疇にとどまる。『火群のごとく』は、ボーダーレスというか、もっと広い世代の人に読まれ、愛される青春小説であろうと思う。
 
 そしてふと思う。こんなまっすぐな青春小説は、ファンタジーか時代小説の形でしか描けないのではないかと。
 もちろん、現代の高校生が純粋でないともまっすぐでないとも思わない。だが、元服という通過儀礼もなければ、学生と社会人との区別さえもあいまいな現代を舞台としたならば、こんなくっきりとした青春小説は描けないのではないだろうか。
 
 あえて言うならば、あさのあつこにはこのまま大人の小説に行ってしまうのではなく、こんな魅力的なボーダーレスの青春小説を書き続けてほしいと願っている。

 最後に、格調高い文体にも触れておこう。たとえば、
「夏を拭い、秋を呼び寄せる雨が降り出したのは、昨日の宵、やんだのは今日の早朝だった。たかが一雨のことなのに、昨日と今日とでは季節が明らかに変化した。
 空が碧い。青の底からさらに青が滲み出してくるような空だ。風の穂先が涼やかさを増し、山々の稜線が明瞭になる。」
 ちょうど今頃の季節の移り変わりをこんなにも的確に描写した美しい文章もまた魅力である。ついでに悪口も一つ。この表紙の少年の表情は暗すぎる。合わない。もっと爽やかな少年のイメージである。

くっきりとした青春小説の醍醐味 ★★★★★
 時代劇仕立ての青春小説である。武家社会の中で身分や家柄の差がありながらも、友情を育み剣術を通して成長していく少年たちの姿を描いている。元服を目前にした少年たちは、もはや少年期の終わりにいる。元服すればそれぞれに家を背負って生きていかねばならない。成長を願い待ち望みながらも、一方では過ぎ行こうとしている少年期を惜しむような思いも抱いている。
 主人公の林弥は突然兄を失うが、その死はまるで闇に葬られたかのようである。林弥は、兄の剣の教えを受けた家老の息子の透馬とともにその死の真相を探ろうとするが、それが小説の主筋ではないだろう。その事件を通して、大人の世界や彼らの生きる武士社会の現実を垣間見ることで、一気に大人にならざるを得ないように描かれていく。
 
 思春期の揺れ動く心の葛藤が丁寧に、時に息苦しいまでに描かれ、ぐいぐいと読み手を引っ張っていく。読むのが惜しいような、早く結末が知りたいような、小説を読む醍醐味を十分に味わうことができた。
 
 あさのあつこの代表作『バッテリー』の時代小説版とも言えるかもしれないが、『バッテリー』はやはり児童文学の範疇にとどまる。『火群のごとく』は、ボーダーレスというか、もっと広い世代の人に読まれ、愛される青春小説であろうと思う。
 
 そしてふと思う。こんなまっすぐな青春小説は、ファンタジーか時代小説の形でしか描けないのではないかと。
 もちろん、現代の高校生が純粋でないともまっすぐでないとも思わない。だが、元服という通過儀礼もなければ、学生と社会人との区別さえもあいまいな現代を舞台としたならば、こんなくっきりとした青春小説は描けないのではないだろうか。
 
 あえて言うならば、あさのあつこにはこのまま大人の小説に行ってしまうのではなく、こんな魅力的なボーダーレスの青春小説を書き続けてほしいと願っている。

 最後に、格調高い文体にも触れておこう。たとえば、
「夏を拭い、秋を呼び寄せる雨が降り出したのは、昨日の宵、やんだのは今日の早朝だった。たかが一雨のことなのに、昨日と今日とでは季節が明らかに変化した。
 空が碧い。青の底からさらに青が滲み出してくるような空だ。風の穂先が涼やかさを増し、山々の稜線が明瞭になる。」
 ちょうど今頃の季節の移り変わりをこんなにも的確に描写した美しい文章もまた魅力である。ついでに悪口も一つ。この表紙の少年の表情は暗すぎる。合わない。もっと爽やかな少年のイメージである。

少年たちの輝き ★★★☆☆
気持ちよく読める作品だった。もしかすると藤沢周平さんの「蝉しぐれ」を意識したのかな。
少年の生き生きした姿は、さすがと思わせる。ただ文章にあさのあつこさんらしさより、時代小説の定番スタイルが目立つのは残念だった。
起・承・転・結 ★★★☆☆
 少年剣士の成長物語をしっかり起承転結で展開していく作品。
 設定などは申し分ない。しっかりと時代小説を読んでいるとうかがわせるくらいしっかりしている。
 しかしながら「転」の辺りは急ぎすぎる感があるし、結びは?というどっちつかずの流れで終わる。続編を思わせるような終わり方?どうなるのであろうか?
いいですよ。 ★★★☆☆
バッテリーの少年たちが藤沢先生の小説の中にタイムスリップした感じです。