はじめの何章かは意識に関するものでこの手の意識に関する本を読みつけていない人にはなかなか読み続けるのがしんどいところもあるが,そこを越えるとなかなか面白いエッセーがたっぷり収録されている.
多重人格障害,洞窟壁画に見られるクロマニヨン人の心と自閉症児が書いた絵,プラセボ効果にかかるエッセーなど面白いものが続く.
イエスキリストがどのような心理的な内景とともに教祖となっていったのかをユリゲラーの例などひいて仮説構築しているところなども(この本がキリスト教圏内で出版されていることを考えてみても)読みどころのひとつである.
このエッセー集の最大の売りは通説に安易にのらないハンフリーの姿勢だと思う.人の心をまっすぐ考え抜く自由な思考が生み出すフレッシュな息吹を感じます.