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発達障害児の思春期と二次障害予防のシナリオ

価格: ¥2,000
カテゴリ: 単行本
ブランド: ぎょうせい
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どの子供にも必要なユニバーサルな支援 ★★★★☆
具体的な事件名をあげるのは控えるが、近年、不登校や非行など反社会的・非社会的な行動の背景に発達障害があるらしいという認識が広まってきた。発達障害に伴う二次障害としての問題行動である。発達障害についての注目が広がる反面、差別や偏見につながりかねない側面もあり、今後も注意が必要な風潮である。
著者は法務技官として長らく勤務し、発達障害や非行といった問題を抱える少年たちへの支援で広く知られている。本文中でも何度も著者自身がふれているが、このような経歴を持った著者であるから、問題行動への対応について期待して本書をとられる方が多いのではないだろうか。私もその一人であった。

そのような期待はいい意味で半分裏切られた。
子供の親の関係性、非行の発生のメカニズムや、非行と二次障害のプロセスの類似性や不良少年たちの社会の中での発達障害など流石この著者にしてというような分析もある。だが、著者が本当に書きたいことは非行などの問題行動・二次障害ではなく、いかにそこにいたる前に支援していくかということである。題名通り「予防」が主題である。

問題行動や非行に走る前の子供であるから、当然普通の子供である。
発達障害があるが故に普通の子供たちの社会からはみ出されてしまう。
そこには大多数の社会からこぼれ落ちてしまった非行少年たちと共通点が多く見いだせる。
「発達障害」「非行」といったラベルではなく「学習された無気力」「学業不振」「不適切な療育環境」などひとつひとつの要素を分析していけば驚くほどの共通性がある。であるのでその対処法・支援法にも強い共通性が生じる。

発達障害のある子供が過ごしやすい教室はどんな子供にとっても過ごしやすい教室であるとか、発達障害のある子供が理解しやすい授業はどんな子供にとってもわかりやすい授業であるといった言説を多く見る。著者の論じる非行少年と発達障害への支援法の共通性はどのような子供たちにも必要な成長や発達とは何かを考える良いきっかけといえよう。

また、近年注目されつつある保護者支援にも度々言及しているのも著者の慧眼である。子供の成長・発達の全面的支援、環境整備という観点からは保護者への支援は今後ますます重要性を増してくるだろう。