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センゴク天正記(1) (ヤングマガジンコミックス)

価格: ¥560
カテゴリ: コミック
ブランド: 講談社
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兵から将へ ★★★★★
宮下英樹の描く歴史漫画。戦国時代を舞台とし、主人公としてこれまで歴史作品では
ほとんど取り上げられることの無かった仙石秀久を起用している。
タイトルに「天正記」が追加され、巻数のカウントもリセットされているが
ストーリー的には若干の仕切り直しがされただけで、殆ど第一期と地続きの物語である。

第一期「センゴク」の初期の構成は戦場での主力兵器が弓であったことの説明に始まり
戦国時代の常識を紹介するとともに、姉川の合戦など、歴史上の通説に対して疑問を投げかけ
新説を提示することに注力していた。
しかし物語が進み、登場人物数が増え、ストーリーに深みが増してくると
そういった面よりも、むしろ戦闘や人物ドラマそのものに重きが置かれるようになっていき、
新説紹介などはなりを潜めていく。

その流れはこの天正記に至っても受け継がれており、
長篠の合戦における三段撃ちへの疑問提示などにもわずか2ページしか割かれていない。
一方でそのストーリー・描写面は開始時から非常に進歩しており、
登場人物1人1人がとても個性的かつ魅力的なだけでなく、
合戦の描写などもミクロ・マクロ両視点においてリアリティがあり、
歴史漫画以前に単に漫画としてもレベルの高い作品に仕上がってきていると言える。

あえて第一期と天正記を区別するならば、第一期では主人公のセンゴクは常に羽柴隊の一兵卒であり、
兵卒として戦場を眺め、兵卒として成長していったが、
天正記では2巻以降、センゴクは一隊を率いる将として家を経営し、戦に臨むことになる。
以降、人の上に立つこととなり、ひたむき、懸命に戦国の世を生きるセンゴクの姿を描いた一期とは変わって
将としての視点から戦国の世を眺めた描写にシフトしていくこととなる。
連載を中途分割した長編作品としては、非常に素晴らしい見せ方ではないか。

画力・構成力共に連載開始時から成長の目覚ましい作品。
現在のペースで、仮にセンゴク死亡まで物語が続くすれば、まだ相当に尺があるということになる。
今後に大変期待できる1作であると言えるだろう。一期含め、非常にお勧めの作品である。
新シリーズは「信長包囲網」を打ち破るべく、本願寺と武田家に狙いを定める。 ★★★★☆
センゴクの第1部完結に続く仕切り直しの新シリーズ開幕。

将軍・足利義昭を中心とした「信長包囲網」も姉川の戦いの後、浅井・朝倉両家が滅亡。
東西の両面作戦を強いられている織田家といえどもこの勝利は大きく、義昭も京都を追放。
室町幕府もここに滅んで、形勢は信長優勢へと傾き始める。

残るは石山本願寺と信玄亡き後の武田家が当面の敵。
長島に立て篭もる門徒衆を騙し撃ち同然の焼き殺しにて死者多数。
門徒の数を頼りに信長を「詰将棋」が如く追い詰めるはずだった顕如の目算は狂い始める。

羽柴・柴田・丹羽・佐久間・明智・野々村・前田・佐々・滝川・・・・
信長配下には有力武将が揃い、唯一の同盟者が東の武田家の抑え・家康。

最早、単独の勢力で織田家に対するは難しく、
関東の北条家・
中国の毛利家・
四国の長宗我部家・
越後の上杉家等の連携なくしては「信長包囲網」は画餅に過ぎなくなる・・・。

「反信長勢力の連携の拙さ」と、それに対する信長軍のまとまりの良さ。
兵農分離が進み、堺などの自由都市を押えての交易で多大な富を得ていた織田家。
新兵器・鉄砲は命中率が動かぬ的でさえ6割未満と言えども、
三千丁を超える保有数で諸国の大名を圧倒していた。

我らが主人公・仙石権兵衛秀久は、そんな革命軍団の歯車のひとつと言えど、
徐々に出世街道を駆け上っていく。

一瞬たりとも見逃せぬ、新戦国絵巻に酔え!
歴史研究家には無い発想 ★★★★★
面白いですね、毎号読み始めて一気に読破です。日本史、特に戦国期が好きなので歴史単行本や、文庫本、新書など発行すると読んでいますが、研究家の皆さんには無い新鮮な斬新な歴史眼があり、「おやっ・・なるほーど」となる感じが読んでいて非常に楽しい本。
貴重なシリーズです。
新しい物語のための基礎作りの巻  ★★★☆☆
 以前に第一部が終了した「センゴク」の第二部スタートの第一巻です。打ち切られたのかと思いましたが無事に復活で、今回のコミックスの表紙を見ても特殊加工がしてあったりと講談社にも力をいれてもらっているようです。
 ただ、物語的には前作までは彼が裸一貫で一から武士として身をたてていく様子を描いたり、最愛の女とのロマンス的要素もあって波瀾万丈のものだったのに対して、今作は仕切り直しの第一巻ということもあってか物語的にはわりあいと地味な滑り出しです。
 舞台は武田信玄亡き後、織田信長が長島の一向一揆、本願寺の囚徒との戦いに臨んでいるあたりの織田家中です。前作のラストで、千石取りの武将として一応は家臣団を持てることになったセンゴクこと仙石権兵衛秀久は、形としては武将として取り立てられたもののまだまだお抱えの武士をもっているわけではなく西へ東へと御用働きの毎日。今作でも領地の整理や、織田信長へのお使い、羽柴秀吉の調略への同行、長島の一向一揆潰しのための潜入工作や、従軍する家臣選びにとひたすら働いています。名家や旧家の出ではないセンゴクが大きくなっていく為のあらゆる事が描かれています。
 まぁ、地味ではあるけれども、今後のセンゴクを描いていくために必要な基礎作りの巻といったところでしょうか。