上質の用紙、全頁カラー、そして掲載店は1店1ページと情報量も読者を満足させる内容でした。
料亭・割烹、京野菜の美味しい店、おばんざい、豆腐・湯葉・精進料理、酒亭、洋食・中華、軽食、麺類、弁当、バー、喫茶店、甘味処という各ジャンルから素晴らしい味と雰囲気のある172店が掲載してあります。雑誌『サライ』掲載の記事を再構成したもので、データは平成17年10月現在のものですが、4年経った今でもほとんど通用する内容だと思われます。それぞれ老舗ですので店の移動は少なく、味や品質も一定していると思われるからです。

本書は大型のムックですので、掲載されている写真も大きく、見た目のおいしさはダイレクトに伝わってきます。各店の詳しいデータも記載されていますし、掲載店が記された付録の地図もあり、それだけを持っていけば京都のガイドとして有用でしょう。

京都は本当に奥深い街で、老舗と呼ばれる古くからのお店が他の都市とは格段に多いのが特徴です。飲食店も数多く、観光客相手の食事処から格式のある料亭・割烹、普段使いの町の洋食屋さんや食堂、そして何十年と営業している個性的な喫茶店まで、数多くの名店が存在しています。どこに入っても一定の満足感は得られるでしょうが、旅のスケジュールに組み込む際はガイド役、指南役が必要です。

読者各人の使用目的や好みが違う以上、本ムックのように幅広い食のジャンルから選定してあれば、多様なニーズに応えられるわけで、その意味においても使い勝手の良い編集だと思いました。内容の割に廉価なのも有り難い配慮です。